Covid-19が世界で猛威を振るう中、教育機関では授業が展開されている。本校でも遠隔授業が展開され、私は主に高専4年生(大学1年相当, 約160名)の数学を担当している。数学の内容は複素数・微分方程式・偏微分・重積分などである。2020年度は、その遠隔授業の授業資料準備・動画撮影に取り組んだ。今回は、遠隔授業と2019年度に行った対面授業の違いを簡単に説明したい。遠隔授業にも2種類の形態があり、リアルタイム型(生中継型)とオンデマンド型(録画型)に分かれる。リアルタイム型の遠隔授業は、次のような利点を含む。
(1) 学生の接続状況を確認することで、対面授業と同じように出席確認可能
(2) その動画を録画すれば、オンデマンド型に対応可能
(3) 学生からの質問に対応しながら授業展開可能
(4) 教員は授業資料の修正・訂正にすぐに対応可能
一方で、オンデマンド型の遠隔授業は、次のような利点を含む。
(1) リアルタイム型よりも端的な無駄のない授業が可能
(2) 動画が短い為、学生も授業を見返し易い
私はオンデマンド型の遠隔授業を展開し、本校ではTeamsを活用した配信のため、学生からの質問・授業資料の間違いなどの指摘には、随時、Teamsのチャットより受け付け、訂正連絡をチャットより行うことで、オンデマンド型の欠点を補いつつ、リアルタイム型よりも学生が授業を復習し易い動画を作成した。学生からの授業評価も高く、学科(コース)ごとに評価は異なるが、4.5〜3.9(5段階評価)であり、学内のFD研修会でも良い遠隔授業を展開している講師の一人として授業方法の説明を行った。
一方で、2019年度は対面授業を展開し、授業はほぼ同じ内容であったが、授業評価は4.7〜4.2であり、遠隔授業と比較すると、少し高い結果となった。また、学生の理解度を確認すると、2019年度・2020年度の試験の難易度は同じに設定したが、対面授業の方が、遠隔授業よりも成績が高いことを確認した。学生の意見を聞くと、遠隔授業よりも対面授業が良いという意見があり、遠隔授業の形態に慣れない学生が少なからずいた為、授業評価に差が生じたと考えられる。また、学生の中には、遠隔授業になると、そもそも勉強しようとしない者も少なからずおり、それが成績に強く反映されたと考えられる。今後は、遠隔授業と対面授業のハイブリッド型の授業にも挑戦し、さらに良い学生教育ができるように精進したい。
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