私が所属している観光ビジネス学科は開設6年目を迎えたが、昨年度からの新型コロナウィルス感染症の影響を大きく受け、授業展開を根本から見直す必要に迫られた。具体的な1つとして、学科の特性上フィールドワークを前提としていた授業が多く配置されていたが、感染対策の一環から座学授業及び遠隔授業への切り替え等大きく変更せざるを得ない状況となった。
フィールドワークは実地調査とも言い換えられ、「わからないこと、あるいは、不確かなことについて、色々な方法を用い、研究テーマの最前線である現地に出向き確かめること」と定義づけられている。現地から得るものをもとに構成されていた授業にも関わらず、出向くことが難しくなった昨今、果たしてどのような授業を展開できるだろうかと随分思い悩んだものである。
しかし、苦境に立たせられると人は、そこから新たな発想を巡らせるものである。あるいは、刻一刻と変わる感染状況や、それに伴った学校の方針により、私たち教員も立ち止まる暇はなかったというのが適切な表現かもしれない。新たな試みとして、現地へ足を運ぶ予定だった場所とオンラインで繋ぎ交流の場を設けてみると、今までには無い新鮮な表情、画面越しの様子に対し釘付けになっている学生の様子を見ることができた。我々も手探りで始めたにもかかわらず、このオンライン上での繋がりに、可能性を感じることができた。
誰しもが予想をしなかった新型コロナウィルス感染症の発生により、当たり前として考えられてきた授業形態を一新しなければいけない状況に対し、教員も学生も受け止め方に個人差があることは当然考えられる。「禍を転じて福となす」のことわざがあるように、立場や見方を変えてみることによって、この逆境をうまく 活用し、授業展開の新たな試みを繰り返すことで、オリジナリティにあふれた授業構築の足掛かりになるのではないかと考える。
時代に合った教育方法を取り入れていく一方、これまで長年培ってきたアナログの良いところをいかに残し、ICTとの共存を考えていくことが我々教員に課せられた課題でもあるだろう。言い換えれば、多岐に渡る授業形態のメリット、デメリットを取捨選択し、授業展開のバリエーションを増やしていく好機と捉えることもできる。まさに授業展開の過渡期である。コロナ禍で立ち止まり苦慮したことが、今後の授業を組み立てる財産となることを願って、日々取り組んでいきたい。
|