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週刊・授業改善エッセイ
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山形県立米沢栄養大学 : 安部 貴洋

「コロナ後の、より豊かな授業のために」       

ここ数年、学びを実感できる授業を考えている。15回の講義が終わったとき、学生が自らの変化に気がつくことのできるような授業である。
 そのためにまず第1回目の授業時には授業全体に関わる大きな問いを学生に投げかけ、簡単なレポートを書いてもらっている。第1回目のレポートはいろいろなことを教えくれる。ありのまま受けとめることを意識しつつ、どのような言葉でどのように授業を進めればよいのかを考えている。第1回目のレポートをもとに、2回目以降の授業では「つながり」を意識した授業を展開している。各授業回における授業内容や他の学生との出会いをどのようにつくるか。そして、各授業回で学んだことを15回全体とどのようにつなげるのか。さらに、この授業を大学4年間の学びとどのようにつなげるのか。最後に、15回目の授業でもう一度第1回目の授業時と同じ問いを投げかけ、レポートを書いてもらう。学生に、学び始めの自分と出会ってもらうのである。   
 学生の、学び始めの「自分」との出会いからさまざまなことが見えてくる。教育学者佐藤学の言葉を借りれば、世界、他者、自己との出会いと対話の軌跡が見える。多くのレポートは、第一回目のレポートと同じような内容であるが、それでも授業内容、グループワークにおける他者の言葉等によって丹念に織りなおされている。また、第1回目のレポートでは具体的な経験に終始していたが、具体的な経験を離れて抽象化する能力や俯瞰的な視点も垣間見えることがある。さらに、考え方や姿勢の変化等、思いもよらぬほど変化した学生に出会うこともある。あらためて自身の未来への希望を確認する学生もいる。このような学生の、学び始めの自分との出会いをできるだけ大切にし、学生と共有するように心がけている。
 コロナ禍において失ったものも多いが、コロナ禍においてこそ見えるものがあったように思う。コロナ以後の生活において、より豊かな対面授業を展開していきたい。
              

   
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