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群馬パース大学 リハビリテーション学部 言語聴覚学科 : 浅見 知市郎

医療系大学における解剖学教育 その2       

前回「医療系大学における解剖学教育」と題した拙文を掲載させていただいてから6年が過ぎました。当時、群馬パース大学は看護学科、理学療法学科、検査技術学科の3学科でしたが、2017年に放射線学科と臨床工学科の2学科、2021年に作業療法学科、言語聴覚学科の2学科の計4学科が増設されました。これによって看護学部(看護学科)、リハビリテーション学部(理学療法学科、作業療法学科、言語聴覚学科)、医療技術学部(検査技術学科、放射線学科、臨床工学科)の3学部7学科の医療系大学となりました。3年前から解剖学の担当教員も1名増員され、主にリハビリテーション学部の3学科を担当してもらっています。
 現在、筆者は主として2学部4学科で解剖学を担当しています。若干の負担軽減となりましたが、暗記過多の科目である解剖学を300人近い学生に、いかに効率よく教えていくかということは非常に難しい課題です。本学で養成しているどの職種も国家試験に向けて解剖学の知識は必須です。本学に限らず全国で、医療系の国家資格取得を目指す学部・学科の増設が続いています。教員の確保も大きな問題と考えます。
 解剖学は、膨大な知識を教示しなければならないため、ややもすると一方的に話し続ける講義になりがちです。かといって、グループワークで解剖学を学ばせるのは、細かい知識を習得するという意味で効果的とは考えられませんし、評価が煩雑になります。解剖学の分厚い教科書に書いてある内容を最初から最後までしっかりと学修するのは、かなり高い基礎学力がなければ困難であると感じます。
 3学科以下だった時代は、章ごとに、こまめに小テストを行って無理なく学修を進めさせるように努めましたが、5学科になった時点で、それは私にとって大変なハードワークとなりました。そこで試験は定期試験のみとし、講義ごとに、これだけは覚えておくべきという復習問題を作製し配付することにしました。定期試験も復習問題をしっかりと学習しておけば解けるように作問しました。当初、配付する復習問題も期末試験も国家試験と同じ多肢選択方式としましたが、その結果、平均点が90点前後になってしまいました。試験において平均点は70点前後になるのが適正な難易度であるということは、よく聞く話です。そこで昨年より復習問題も期末試験も多肢選択ではなく記述式にしました。解剖学用語を数百個覚えさせ、記述で答えさせるのですから、本学の学生には若干難しいかなとも思いましたが、意外にも多肢選択の時と平均点はそれほど変わりませんでした。本学の学生は筆者が考えているよりもずっと優秀であり、彼らの学力を信じなければいけないと感じました。
 大学教育である以上、本来はヒントなど無しで論述や図解説明でも解答できるのが理想であると、個人的には考えます。しかしながら、それは現状では非常に困難でしょう。また、それぞれの職種によって、医学生に対する解剖学教育と同様に行わなければならない部分、同様ではいけない部分があると思います。決して医学部医学科における解剖学のダイジェスト版であってはならないのです。まだまだ医療系大学における解剖学教育は、教員確保、教員のあり方も含めて試行錯誤を続けなければならないと感じます。
            

   
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