Japanese/Englishリンクお問い合わせ

特色ある教育の開発、教育力の向上をめざして

週刊・授業改善エッセイ
つばさとは?
つばさ連携校
事業内容
FDカレンダー
週刊・授業改善エッセイ
 
 

札幌学院大学経済経営学部経営学科 : 吉川 哲生

遠隔授業から新たな面接授業へ       

コロナ禍での遠隔授業ではさまざまな気づきがあった。はじめて自分の授業の録画を見直してみて、自分の話し方や癖の多さに嫌気がさした。コロナ禍前まで学生さんはよくこの話し方に我慢してきてくれていたんだなと思った。確かに、話し方講座のようなものは受けたことがないし、授業評価アンケートでは声が小さいとか、聞き取りにくいなどの指摘は受けるものの、それが具体的にどのような感覚からの指摘なのか自分が体験していなかった訳で、実際には完全に修正できていなかった。
 遠隔授業から面接授業へと授業の方式が変化していき、2021年度はハイブリッド方式を採用した。教室で授業はするものの、そこに来る学生は数人だった。この授業は会議システムを通じてオンライン配信を行っていたが、そこに参加する学生も履修者の半分以下。残りの履修学生はその授業の録画を視聴していたようである。この方式はそれぞれのニーズにあった勉強方法であると思うが、私にはある疑問が湧いてきた。それは学生が本当に勉強しているのだろうか?というものであった。教室の数人は勉強熱心であったが、オンライン配信に参加している学生と録画で勉強する学生が本当に勉強しているか確かめる術はない。オンライン配信の学生は顔を映さないような設定にしており、私ができるだけカメラをオンにしてくださいと言ってもそれに応えてくれる学生はほぼいなかった。遠隔授業により学生があらゆる授業で発生する課題の山に参ってしまっていたことがあったが、教員の側からしたら、このような事情からも課題を出さざるを得なかったのだろう。
 2022年度、私は基本的に教室での面接授業を行なった。基本的にというのは、体調不良などで教室に来られない学生に対しては、個別にオンラインでの遠隔授業を認めていたからである。勉強したくても家から出られない学生に対して、教員の追加的な負担なくこのような対応ができるということは、コロナ禍での遠隔授業を経て知ることができた点である。
 また、大学の授業でよく使われているPPTなどの資料は、印刷しなくて良いことがわかった。コロナ禍を経て学生はほとんどが自分のPCを持っており、たとえ授業でPCを持って来られなくともスマートフォンがその役割を果たしてくれる。遠隔授業システムとして利用していたMoodleに資料をアップロードすれば、学生は授業中にそれを見ることができるし、事前に予習したり、復習に用いることもできる。私はかねて授業中に印刷した資料を配布する一方で、専門外ではあるものの、環境問題を口にすることが多かった。コロナ禍を経て、わずかではあるがエコな授業を進めることができるようになった。しかし、この取り組みは私に新たな課題をもたらした。それは試験での持ち込み許可物をどうするかということである。そもそも一切の持ち込みを許可しなければ良いのであるが、従来、私の授業では教科書と配布資料の持ち込みを認めていた。資料を持ち込み許可物に含めるために、私の授業では、ほぼ全ての試験で一切認められないであろう通信機能を含むPCやスマホの使用を許可した。そして、インターネット検索などしても一筋縄では答えられない問題の試験を用意することで、この課題を克服した。今の時代、インターネットを利用することですぐに解決できることはそれで良い。さらに、その先の課題や問題を解決するために、人は能力や労力を費やさねばならず、大学とはまさにそのために存在しているのではないか。
            

   
  Copyright 2009 Yamagata University higher education research project center , All Rights Reserved.
 
このホームページに関するご意見・お問い合せは、山形大学教育開発連携支援センターまで。
山形大学 教育開発連携支援センター
〒990-8560 山形市小白川町一丁目4-12
TEL:023-628-4720 FAX:023-628-4836
yu-syugaku@jm.kj.yamagata-u.ac.jp