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週刊・授業改善エッセイ
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 青森中央学院大学看護学部 : 中村 祥子

 臨地実習について再考する 

「百聞は一見に如かず」ということわざがあります。新型コロナウイルス感染症による制限が解除され、久しぶりに臨地で実習が実施できた時、この言葉を改めて深く実感しました。学生が実際に臨地に行き、自分で見聞きし、感じること、体験すること、考えること、学ぶことの意義は大きく、改めて臨地実習の重要性を痛感しました。2020年からの新型コロナウイルスの感染拡大により、看護学教育では、臨地実習の実施が困難となる未曾有の事態となり、各大学では、様々な代替方法を駆使して教育の質を維持する取り組みが行われました。今年5月に「5類感染症」に変更になり、多くの病院や施設での実習が可能となりましたが、医療現場では継続した患者対応や感染対策が行われているため、今後も臨地の状況に合わせた実習方法の検討や柔軟な対応が必要です。また、コロナ禍での経験を活かして、どのような環境下でも、学生が看護実践能力を適切に修得できる教育方法を検討していく必要があると感じています。
 私は青森中央学院大学の看護学部で小児看護学を担当しています。2020年から2022年の実習では、新型コロナウイルスの影響で、実習施設から受け入れ中止の申し入れがあり、その代替えとしてロールプレイを中心としたシミュレーションによる学内実習を実施しました。大学の実習室に模擬小児病棟を設置し、教員が子どものモデル人形を動かしながら家族役を演じる等、可能な限り臨地の環境や状況を再現することで、概ね臨地実習に準じた教育効果を得ることができました。しかしながら、モデル人形では表情や症状に変化がなく子どもの再現や状態の観察に限界があること、小児科看護師の子どもと家族への関わり方等、シミュレーションでは再現が困難な内容も多くありました。その後、臨地実習が再開すると、これらの課題は、学生が臨地で子どもや看護師と関わることで当たり前に学ぶことができる内容であることを再認識し、短い時間であっても臨地に行き自分の目で見て体験することの必要性を実感しました。
 看護学教育における臨地実習は、学生が看護の本質に触れ、対象と向き合い、学んだ内容を看護の場で生かし統合していく学習のプロセスであり、多様な価値観、人間像に気付き、体験を積み重ねながら実践力を高め、かつ自己成長していく過程であるといわれています。臨地実習は学生が成長できる貴重な場であるため、できるだけ臨地でしか学べない内容を体験できるように調整するとともに、実習前に位置づけられている講義や演習を効果的に関連付け、実習に向けた学生のレディネスを形成する等、臨地実習の学修効果を高める工夫を今後も模索していきたいと思います。   
            

   
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