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週刊・授業改善エッセイ
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 山形県立保健医療大学 : 沼澤 さとみ

 実務家教員としての迷いと学生に伝えること 

私が勤務しているのは医療系の単科大学で、看護学科に籍を置いています。看護師の実務経験がある実務家教員としての役割も兼ねていることになります。看護師として病院勤務ののちに助手としてアカデミックキャリアをスタートさせた当時は、実務家教員という考え方はありませんでした。しかし、助手は、学生の病院での実習指導を担っていたため、当然ながら臨床経験があることが必要で、大学教員として教育実践能力も実績もない身としては、それが教育上の大きな武器でもありました。
 病院では、教員が指導を担当する病棟で、学生は複数あるグループごとにローテートして2週間あるいは3週間実習します。そのため、約半年はほとんど病院で仕事をしていました。現在は助手だった当時と専門領域が変わり、また職位が上がったことで、病院に実習指導に出向くこともだいぶ少なくなりました。看護師としての実務経験より大学教員としての経験年数のほうが長くなり、臨床の経験を生き生きと語る力が足りないと自覚することもあります。また、若い教員や臨床の看護師達が臨床で活躍する姿を見ると、自分が実務家教員と言えるのか迷い、自問を繰り返します。
 先日、私が担当する授業に卒業生をゲストスピーカーとして招きました。彼は卒業後、病院の看護師として働き、大学教員としてのキャリアもあります。本来の授業内容の他に、仕事をしながら修士の学位や専門看護師の資格も取得して、臨床での実践を続けていることを、学生に話していただきました。テレビ番組で取り上げられた現場でのケアを紹介する動画は、心を動かされたと同時に、看護師としての責務の重さを感じるものでした。
 彼自身のキャリアや実践が、学生への大きな刺激となったことは間違いありません。授業後のアンケートでも、多くの学生が看護に対して前向きなコメントを残しています。このような授業ができる人材こそが、実務家教員としてふさわしいのだろうと思います。臨床を離れて20年以上たってしまうと、これから彼と同じ経験ができて、同じように学生に伝えられるわけではありません。私自身が実務家教員と言えるためには、臨床の場で学生を通して看護を体験していることの意味について、これまでの教育や研究で得られた知の価値を添えて学生に伝えることなのだと、彼の授業の後に思いを新たにしました。        
            

   
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