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週刊・授業改善エッセイ
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 関東学院大学 : 冨田 茂美

 大学のアクティブ・ラーニング 

私の授業のモットーは、「分かり易く」「楽しく」「ためになる」授業である。その実現のために、学生同士のグループディスカッション等を含め、多少なりとも学生のアクティブラーニングを進めるよう努めている。少しでも学ぶ必要と興味を感じてもらいたいからである。というのは、私はキリスト教学を中心に教えているので、宗教そのものを敬遠する日本の大学生にこの授業が怪しくないどころか、人生を変えるほど価値のあるものであることを理解してもらうためには、できる限り魅力的な授業を提供する必要があるのだ。
 アクティブ・ラーニングを行う中でも、「心が動く学び」を通して、大学生の心に働きかけるアプローチを心掛けている。例えば、Mary Immordino-Yang(教育、心理学、神経科学専門)は、「神経生物学的に言って、感情なしに、記憶したり、複雑な思考を行なったり、意味のある判断をすることは不可能だ」と述べる。彼女からすれば、人が、心配していることや気になることについてだけ深く考えることを考慮すれば、これは非常に理にかなっていることなのである。従って、教師は、人がいつ、どのように、なぜ学ぶのかをもっと考える必要がある、というのだ。教師は人の感性についてもっと理解し、感情がより生産的な学びの助けになるよう、テクノロジーや文化や社会的なつながりなど、色々な材料を利用すべきなのである。生徒に学ぶ意欲を与え、より深い学びを促し、学んだことが個人の世界観を変えるような学びをしたいと望むなら、教師は、なんとかして個人の「感情を動かす」という方法を見出す必要がある、とImmordino-Yangは主張する。
 時折、私たち教師の努力はどこまで必要なのかと考えさせられることがある。私の大学生時代は、授業は専ら講義型。学生による授業改善アンケートも、学生の提出物に対するフィードバックも基本的に必要とされていなかった。久々に日本の大学に戻った私に、アクティブラーニングの出現は大きな驚きであった。アクティブラーニングや心が動く学びの利点は多々あれども、やはり、最終的には本人の学ぶ意欲と責任が問われるべきであって、そういう意味では教師の役割にも限界があると思うのである。結局ここは高等教育の場である。
 しかし、キリスト教学のような得手して人気のない授業を教えている私にとって、単に講義を行なっていれば良いというものではない。ささやかではあるが「分かり易く」「楽しく」「ためになる」授業を目指すためには、「心の動く授業」を心掛け、益々アクティブラーニングを取り入れる必要を感じている。        
            

   
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