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 仙台大学 : 金 一坤

 「作文」、説得力のある人になる秘訣 

「米国の大学における人材育成目標は、説得力のある人を作ることであり、この過程で最も重要な科目は作文である。 また、作文がまともに書けないと、学校の授業で要求する思考ができなくなる。」 <ハーバード大学総長>
 
日常生活のさまざまな手続きが非対面で実施できるようになった昨今、多様な状況で文書による文字コミュニケーションがますます多くなる一方で、自分の考えを論理的かつ正確に伝えることに多くの学生が困難を経験している。日本語ネイティヴではない筆者に「どのように文を書けばいいのか分からない」と質問する学生も少なくない。

 筆者は、学生たちが悩んでいる作文を簡単に作成できる方法はないだろうかと悩んだ末、約10年前からハーバード大学の作文練習方法である「OREO MAP(オレオマップ)」を活用して指導している。「OREO MAP」は、論理的な文章の構成要素であるOpinion(意見)、Reason(理由)、Example(事例)、Opinion/Offer(意見強調、提案)の頭文字を取った作文道具であり、Opinion(意見)は、自分が言おうとする核心意見を主張すること、Reason(理由)は、理由と根拠に主張を証明すること、Example(事例)は、事例と例として繰り返し証明すること、Opinion/Offer (意見強調)は、核心的な意見を強調して方法を提案することである。このことから、作文に困っている学生たちに、作文が上手になりたいなら「OREO MAP」をしろ!と言う。 なぜなら「OREO MAP」は作文の公式と同じで、これを活用すれば「核心を」、「早く伝えて」、「求めている反応を得る」ことができ、報告書、企画書、提案書、プレゼンテーション、Eメール、報道資料、演説文など多様な文章を簡単に書けるようになるからだ。また、「OREO MAP」の順に一行ずつ作成すれば文の骨組みが作られることになり、各一行に細部内容を加えて段落にして連結すれば文一編を完成させられる。このように「OREO MAP」は、核心を早く伝え、自分が求める方向に影響を及ぼす文を書くことができる力量を育ててくれる。

 筆者は常に学生たちに「自分が何を言おうとしているのかを明確にすること」、「なぜ話すのかを明確にすること」、「求める反応を明確に要請すること」を相手に伝えるようにしている。すなわち、「What」、「Why」、「How」という3つを必ず含めて作文するようにしている。「What」は、「何についての内容か?」であり、「Why」は、「なぜこれが必要なのか?」であり、「How」は、「どうすればいいのか?」である。この核心内容を最終的に「OREO MAP」という考え方の配置枠に取り組むことで、相手を素早く説得できる文になる。  
   
  筆者は、学生たちにこれを理解させるため、実際、世界的な投資会社バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェット氏は、投資家たちに決算に関する手紙を送る時「OREO MAP」を活用して簡単な文の概要で書いている例を見せると、作文が難しくないことに気づき、自ら作文練習に没頭する姿を見ることができたと述べている。すべての文は主観的だが「結論、理由、根拠」を備えて書いた文には説得力を持つようになるからだ。  
     
  <ウォーレン・バフェット氏の手紙の概要例>  
   
  Opinion(意見): 前年度の事業成果を純利益、1株当たり価値別に示す。  
   
  Reason (理由): このような成果を出した理由を説明する。  
   
  Example(事例): 具体的な事例で内容を補強する。  
   
  Opinion(意見): 来年も良い成果を出すと結論(意見)を強調する。  
     
  最後に、筆者はこのように「ORE OMAP」を用いて、学生たちが簡単に作文できるように、私が担当しているすべての授業時間でこの方法を取り込み、作文能力を身に付けた説得力のある人間を育てていくことを目標している。また、このような作文練習を通じて作文だけでなく、学生たちの人生でも、「単純さ」と「明瞭さ」の重要性を感じてほしい。そして、このことを通じて学校、職場、自身の会社など、社会のリーダーとして強固に組織を、率いて行く人間として位置づけられていくことを、願うところである。      
            

   
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