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特色ある教育の開発、教育力の向上をめざして

週刊・授業改善エッセイ
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 北里大学 : 久保田 浩司

 グループワークの教育指導は難しい 

獣医学部の学生は1年次に相模原キャンパスの一般教育部で学んだあと、2年次以降、卒業まで青森県の十和田キャンパスで専門科目を学びます。学生を取り巻く環境は都会から人口6万人ほどの地方都市へと劇的に変化します。自宅から通う学生はきわめて少なく、在学生のほとんどがキャンパス周辺の徒歩10分未満のところに住んでいます。
 私が所属する動物資源科学科は獣医師を目指す獣医学科と異なり、専門資格のゴールがありません。国家資格の取得に直結しない学科ゆえ、学生が学習内容に対して高いモチベーションを維持し続け、十和田まで学びに来た甲斐があったと思ってもらえる特色ある教育を提供することが重要です。
 本学科の特色の一つに、医学部の協力を得て2009年から展開している「農医連携教育プログラム」があります。本プログラムは農と医の複眼的視点を持った人材を育てることを目標にしています。例えば、2年次の「基礎プログラム」では、医学部教員が十和田にて対面で講義を行なったのち、本学科が対象とする農学分野と医学及び医療分野にまたがる複合的な諸問題について、少人数で討論しその結果を発表する演習形式の授業を行っています。また、3年次の「専門プログラム」では、選抜試験を課し人数限定ではありますが、相模原キャンパスの医学部や大学病院等で講義・実習を数日から1週間程度行っています。  
 授業評価アンケートの結果はというと、「専門プログラム」は受講生の学習意欲が高く、事前説明も十分されているうえ、医学部というある意味特別の環境における授業であることから、きわめて高い評価を得ています。一方「基礎プログラム」の演習はおおむね好評であるものの、課題もいくつか指摘され試行錯誤の授業改善を続けています。   
 毎年寄せられる意見としては、グループ内の非協力的なメンバーに対する不満です。対応としては、発表数がかなり増えてしまうのですが、1グループ10名だったものを半分ほどにして何かしら役割を果たさないとグループワークが進まない状況にし、さらに成績評価に自己評価を加え、貢献度の差別化を図りました。こうすることで学生の満足度は上がってきました。それでも非協力的な学生がいたことや、逆に一人がやりすぎて他の学生が参加できなかったなど、作業分担に関する不満は無くなりません。最終的な発表内容からメンバー間の不和を窺い知ることは容易ではなく、グループワークに対する教育指導方法や評価基準にはいつも悩まされます。   
 学習効果がどの程度上がっているかの把握も十分とは言えませんが、少なくともいかにメンバー間でコミュニケーションを図り状況を改善していくかということを学ぶよい機会になっているのではないかと感じています。ただ、十和田での生活はキャンパスから出ても学生間の距離が近く、こうした授業よりも、実生活の方でコミュニケーション力を高めているのが現実かもしれません。  
            

   
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