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週刊・授業改善エッセイ
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 東北芸術工科大学 基盤教育研究センター : 亀山 博之

 芸術系大学における英語教育の在り方の模索 

東北芸術工科大学は、芸術とデザインを学ぶ大学である。もちろん、そのために他のさまざまな学問に触れながら、学生は自らが選んだ分野において専門性の高い技術や知識を身につけていく。「英語」はその他のさまざまな学問のうちの一教養科目に位置付けられている。英語に関心のある学生はそれなりの人数はいても、英語を主として学ぶためにこの大学に入学するという学生はいない。こうした状況において、英語の授業が学生にとっていかに有意義なものになるか、教育目標から授業の具体的方法にいたるまでを見直し、授業改善を目下実践中である。
 英語はできないよりできたほうがよい、また、TOEICテストの高得点を獲得できれば就活の際に役立つ、そんな輪郭のはっきりしない方針ないしは目標しか、かつてなかったように思われる。本学に限らず、日本における英語教育の実情を振り返ってみると、英語という学問分野の中のどのような能力が必要なのかという議論は、着地点がないまま今日に至っているようだ。挙句の果てには、日本人には英語は不要であるという説を唱える者も出る始末。言い換えれば、明確かつ具体的な目標を学習者がしっかり把握しないまま、有無を言わさず英語を学ぶという状況が続いてきたのである。この反省と実情をふまえ、本学ではいま、全学生が「英語で自分の作品を説明できるようになる」という目標のもと、英語を学んでいる。
 この新たな目標を抱きながら、学生たちはいま授業の中で、自分の最も関心のある専門分野について、言語、文化、背景の異なる人たちと核心に迫るやり取りを英語でおこなおうと試行錯誤している。現在はSNSもあるから、海外の人々を相手に自分の作品を披露し、意見を交換し合うことをすでに始めている学生も少なくない。相手に自分の考えを伝えるために必要な英語の文法や単語はもとより、自分が何を本当に一番伝えたいのか、それを英語ではどう表現するべきなのか、学生は自ら学び、考えるようになっている。
 明確な目標を持ち、主体的に英語を運用するようになり始めた学生をサポートすることは、この教育改善を経て生まれた教員の新たな役割の一つであり、大きな喜びである。くわえて、異なる言語の学習を通じて得られる新たな思考の方法や発見もあるだろうから、それがアーティスト、デザイナーとしての学生の活動に好影響を与えることにもこれから期待したい。海外への関心が高い学生の数も顕著に増え、本年度から「留学チュートリアル」という活動も開始した。今後もますます多くの変化が生まれることが楽しみである。
                  

   
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