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週刊・授業改善エッセイ
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 桜の聖母短期大学 : 阿部 優子

 地域の食文化を次世代に 

桜の聖母短期大学は、2025(令和7)年に創立70周年を迎える。私はこれまで本学が創立して間もない1960〜1970(昭和35〜45)年頃に定着した福島県の家庭料理について調査を進めてきた。本県は北海道、岩手県に次ぐ面積を有し、南北に縦貫する奥羽山脈と阿武隈高地によって、3つの地域に分類されている。新潟県に隣接し、降雪量が県内で最も多い山間地域の「会津」、県の中央に位置し、主に平野部で会津と浜通りの中間的気候である「中通り」、太平洋に面し年間を通して温暖な「浜通り」と、それぞれの地域性によって特徴のある様々な食文化が根付いている。
 本学生活科学科食物栄養専攻に在籍する学生を対象とした郷土料理のイメージ調査では、田舎の伝統ある料理といった郷愁的なイメージを持つ一方、温かみがあり季節を感じる親しみある料理として捉えていた。しかし、認識している福島県の郷土料理として挙げられた料理数は平均2.2品とその認知度は低いのである。
 農林水産省による食育基本法に基づく第4次食育推進基本計画の具体的な目標項目において、「郷土料理や伝統料理を月1回以上食べている国民の割合」は第4次基本計画作成時の値(2020(令和2)年度)が44.6%であったのに対して、現状値(2023(令和5)年度)は54.6%と上昇した。引き続き今後の目標値(2025(令和7)年度)を50%以上と記している。一方で「地域や家庭で受け継がれてきた伝統的な料理や作法等を継承し、伝えている国民の割合」は作成時の値(2020(令和2)年度)が50.4%であったのに対して、現状値(2023(令和5)年度)は44.7%と下降し、今後の目標値(2025(令和7)年度)を55%以上と記している1)。
 家庭内における郷土料理の調理担当者は主に調理経験の長い高齢の女性である傾向が高く、核家族の割合が増える現代において、日常の食卓に郷土料理が出現する機会は低く、家庭内における世代間の伝承が危惧される。生活科学科食物栄養専攻学生のほとんどが「栄養士」を目指して日々の授業に臨んでおり、卒業生の多くがそれぞれの地域において「食」に携わる職業に従事している。調理学、調理実習等の授業を通して郷土料理に触れる機会を増やし、その認知度を少しでも高めたいものである。食の多様化といわれる現代において、地域の食を見直し、これまで引き継がれてきた料理を次世代に伝え継ぐ使命を担ってほしいと考えている。
 
  1)農林水産省、食育推進施策の目標と現状に関する評価

https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/attach/pdf/r5_wpaper-73.pdf(2025年1月閲覧)

         
            

   
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