本学理学療法学科は、地域医療と福祉に貢献する人材育成を目的として、2002年に群馬パース学園短期大学理学療法学科として誕生した。その後、2005年に専門性の高い教育を目指して4年制大学へ改組した。さらに2009年に大学院を設置し、研究活動を通じて理学療法分野の発展にも寄与している。以上のように歴史は20年以上にわたり、地域最大規模の理学療法士養成校として、多くの卒業生を輩出してきた。これまでに1053名の理学療法士を社会に送り出しており、関東圏を中心に多様な医療現場で卒業生が活躍している。教育面では、基礎から応用までを体系的に学ぶカリキュラムに加え、見学実習や総合臨床実習など豊富な実践機会を提供している。近年では新学科が増設されたことにより多職種連携を重視し、他学科との合同授業を通じてチーム医療のスキルも養っている。
現在、本学の理学療法学科FD部門では、アクティブラーニング(以下AL)の積極的な導入を推進しており、各単位認定者が授業の工夫と編成に取り組んでいる。ALは、2012年に文部科学省が「大学教育の質的転換」の方針の中で重要なキーワードとして提唱したものである。これを契機に、高校や大学で授業改善が進められてきた。しかし、理学療法教育では伝統的にグループワーク、事前課題による授業、学生発表、さらには理学療法の実技授業などを積極的に取り入れてきた。一方で、講義ベースの一方向的な授業も残存しており、それが課題となっている。
ALを正しく理解するためには、いくつかの確認事項が必要である。まず、ALの対極にあるのは「詰め込み授業」ではなく、「一方向的で受動的な授業」であるという点である。具体的には、90分間の講義のみで構成される授業を指す。また、「詰め込み授業は悪」という誤解にも注意が必要である。基礎的な知識がなければ、グループディスカッションなどの活動は深みを欠き、形骸化したALに陥る可能性がある。学生にとっても「ない袖は振れない」状態では、ALの効果は十分に発揮されない。
本学理学療法学科では、まず効率的に基礎知識を習得し、その後にグループワークや討論、資料作成に取り組むという手順を適切なALの実践と考えている。このため、1年次や2年次は知識のインプットを重視したALが中心となり、3年次や4年次にはグループ討議やグループでのレポート作成そして実技演習といった、より主体性を重視した実践的な活動を段階的に増やすカリキュラム構成としている。
さらに、授業が断片的にならないよう、他の授業との連携を図ることも重要である。しかし、この点に関しては本学科でも課題が残っている。現状では単位認定者の裁量に依存しており、関連科目間での連携が十分に取れていない場合もある。今後は、各単位認定者が協力し合い、より質の高い教育を提供できるよう努めていきたいと考えている。
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