大学が、学生たちの能力をどう伸ばすのか問われる時代です。東京家政学院大学では、天野正子学長提案の「学生一人ひとりの卒業成長値を高める」を目標にしています。卒業成長値は学力偏差値とは異なり、入学から卒業までのプロセスで、学生が伸ばした能力を、学生自身が評価するという、いわば、学生による学生のための学生についての指標です。
FD委員会では平成23年度(A)全学共通と(B)学科ごとの2段階で取り組みました。(A)全学共通では、建学KVAスピリッツと関連付けた評価指標を考え、5段階で評価し記録するシステムをつくりました。KVAとは知識Knowledge・徳性Virtue・技術Artの頭文字です。
K @問題発見・解決力A情報収集・活用力B批判的思考力
V C創作・創造力Dコミュニケーション力E自己理解力
A Fマネイジメント力、Gチームワーク力と統率力Hプレゼンテーション力
学生たちが、自己評価した結果を4年間前期・後期、計8回、記録できるよう、ポートフォリオの仕組みも同時に整えました。
(B)学科ごとの取り組みとして、年度末3月のFD・SD研究会を報告会としました。現代家政学科・健康栄養学科・生活デザイン学科・児童学科・人間福祉学科5学科の学科長が各学科の卒業成長値の捉え方と専門をいかした活動内容を報告する研究発表会となりました。
さて、卒業成長値は、卒業時点までの評価です。しかし、大学4年間の本当の評価は、人生の各ステージで、4年間の経験を活かせるか、卒業≪後≫成長値です。天野学長によると、学生たちが学ぶカリキュラムには、大学の教室で教える「見えるカリキュラム」、もう一つ「隠れたカリキュラム」の二つあるそうです。私は個人的に東日本大震災の被災地支援や、地域の中小企業やNPOとの連携や、世代間交流など隠れたカリキュラムが、卒業≪後≫成長値をあげる効果があると考えています。
一つ例をあげます。「ミサオおばあちゃんの笹餅は、ひとを元気にする力があります。被災地の人に、おばあちゃんの笹餅を食べさせたいです。」東日本大震災の二ヶ月後、青森県五所川原市の84歳の女性農業者桑田ミサオさんから東京家政学院大学千代田三番町キャンパスに届いた笹餅に学生が書いたお礼の葉書が契機となって、千羽鶴のかわりに千個の笹餅を被災地の高校生に届けるプロジェクトが始まり2年目となりました。ミサオさんが笹餅づくりの起業をしたのは75歳でした。未来のあなたが75歳に起業する前向きな生き方をすることを願って、今の学生たちの卒業成長値を高めたいと思っています。
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