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 苫小牧工業高等専門学校 中野 渉
 

古株教員のTP作成体験談

 

本校では、平成23年度から「ティーチング・ポートフォリオ(以下TP)」(教育業績記録)の取り組みを始めています。これまでにTPを作成したのは9名。全教員の1割強ですが、少しずつ増やしていく考えです(この間、先進校の阿南高専の先生方には熱心にご支援頂き感謝しております)。

 

さて、ワークショップを主催するのがFD部会長(教務主事)としての私の役 目ですが、自分で体験せずに先生方にお薦めしても説得力がありません。そこで、昨年12月末に2日間集中のTP作成ワークショップを設定して自分も参加してみました。助言者であるメンターは、阿南高専の先生方と昨年TPを作成した本校の先生方です。

ワークショップ初日の12月25日。朝10時からオリエンテーションの後、メンターと作成者の個人メンタリング。私のメンターは本校若手のW先生です。「自分の教育理念と目的を明確にし、それに沿った構成にするとよい」等々の丁寧なアドバイスをお聞きし、いよいよ執筆開始。ここからは1人での作業です。教育理念・目的、それを実現するための戦略等々を書き始めますが、この日はFD講演会の開催・司会もあって捗りません。しかし、メンターへの初稿提出締切りは22時。パソコンと格闘し、まずまずの出来と思いながら21時59分にメールで初稿を送信して初日が終わりました。

12月26日、朝10時から個人メンタリング。楽観していた私に、W先生から「理念・目的を絞りましょう」「戦略・方法とのつながりを明確に」、的確な指摘が続きます。昨夜、初稿が届いた後、夜中まで原稿を丁寧に検討して頂いたと知って、頭が下がる思いです。結局、大幅な修正が必要と分かりました。再び悪戦苦闘すること6時間。夕方には全員が集まって、参加者が自分のTPを披露します。他の先生方の教育理念や教育方法を知るのは刺激になります。私はその日以降もW先生とやりとりを続け、ようやく最終稿を提出できたのは年をまたいだ翌1月でした。

自分の教育を振り返り、教育理念や目的をはっきりさせ、それを教育活動とリンクさせる意識を持つこと。これがTP体験を通して得た1つ目の収穫ですが、他にも得たものがあります。若いW先生にとって二回り近く歳が離れた年寄への指導は難儀だったと思いますが、私は最後まで気持ちよく指導を受け、意見交換ができました。また、W先生がしっかりとした教育観を持っていることには感心しました。メンタリングやTP披露を通じて、年代や専門の壁を越えて互いの教育観などを知ることができ、教員の交流が深まる。成果物としてのTPだけでなく、作成プロセス全体にFDとしてのユニークな機能が仕組まれているのです。

若手・中堅の先生方はもちろん、古株教員にとってもTPは意義がある。それを実感した平成24年師走のTP作成体験でした。


   
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