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了コ寺大学 越田専太郎

「良薬口に苦し」の実習を目指して
 

私は医療系の大学でアスレティックトレーナー(以下、AT)の養成に関わっています。ATとはスポーツ選手の健康管理にかかわる専門職であり、本学は(公財)日本体育協会公認AT養成の認定校となっています。AT養成カリキュラムでは在学中に180時間の実習参加を義務付けており、私は教員として学生に帯同し実習を指導しています。その中で私が日頃感じていること記したいと思います。

実習では学内での講義とは異なり、スポーツ現場で選手と直接に関わることでATとしての技術、素養を身につけることになります。したがって、その緊張感は講義とは比較になりません。実習を通して自分のスキルを高め、またATとして活動することへの充実感を経験する学生をみることは教員としての喜びです。そういった学生の実習に対する評価は得てして高くなります。一方で、ATという仕事に対して興味を失う学生も存在します。ATというものが当初思い描いていたものと異なり、他の仕事と同様に決して華々しいものではなく地道なものであるからかもしれません。また、教科書を「覚えて」回答するという思考に慣れた学生の場合は、非常に難しい時間を過ごすことになります。このような学生の実習に対する評価は得てして高くはありません。

このようなときに、私が感じるのは果たして "学生が充実した楽しい実習"のみが良い実習なのか?ということです。もちろん、一回一回充実した実習とするためには教員・学生共にしっかりとした準備が必要となりますし、その中でお互いに得るものは大きいでしょう。しかし、教育者としては同時に10年後に学生が実習の経験を糧にできるようなものを同時に提供するべきだと思うのです。「あのときの苦しい経験が今に生きている」という経験は誰しも持ち合わせているのではないでしょうか? 短期的には苦い薬であっても、長い目でみれば良薬であった、そのような教育を行いたいと感じています。

現在の授業改善は学生に対していかに評判の良い授業をするのか、というところに目が向きがちです。しかしながら、真に授業を改善していくのならば苦い薬(学生にとってはしんどい経験)をいかに与えるのかという議論が必要だと思います。





   
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