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 山形大学  松坂 暢浩
 

「あえて決めない態度」によって可能性を広げる

 

現在私は、本学基盤教育の「応用と学際」にて『キャリアデザイン』というキャリア教育科目を担当しています。本講義は、本学が掲げる人生を強く豊かに生きていくための「人間力」を高める事に主眼を置いています。狙いとして、最終学年次(4年、修士2年生)に納得した意思決定(進路決定)ができる力を、早期から意識し身につけていくことを目指しています。講義スタイルに関しては、教員の話を一方的に聞く講義ではなく、個人、ペア・グループワークを中心にした学生同士が、お互いに学び、気づき合う相互学習の形式を採用しています。

 

今年で開講して2年目になりますが、前期2コマの開講で昨年の6倍近い446名の学生が履修をしてくれています。大人数のためうまく講義をコントロールできるか不安もありましたが、昨年にもましてまじめで非常に意識が高い学生が多く、講義中も協力しながら一生懸命頑張って課題やワークに取り組んでくれています。

  

しかし、一方で少し「頑張り過ぎている」学生もいるように感じています。以前ある学生からこんな話をされました。

「大学に入学して、周りの友達がすごく頑張っていてすごいなーと思うんです。だからもっと自分も頑張らないといけないんじゃないかって。特にやりたい事があるわけではなかったので、目標を見つけて何か頑張らないといけないという焦りや不安で最近疲れてきました。ふと、辛いなーと思う時があるんです・・・。」

そのように話した学生に対して「無理をして何かを決める必要はないよ!」と話をしました。目標を決めて、それに向かって頑張るというキャリアデザインもあれば、先のことはどうなるかわからないのだから、あえて決めずに流れに身を任せながら目標を見つけていくという「オープンマインド(開かれた態度)」でいることも必要であることを伝えました。

そのような話をしたところ、学生は「なんだか少し楽になりました。気持ちが軽くなった気がします。」と言っていました。これまで張りつめていた気持ちの糸が少し緩み、何か見えないプレッシャーから解放された様な表情になったので、私も安心しました。

この「オープンマインド(開かれた態度)」のキャリアデザインについて、『計画された偶発性理論(Planned Happenstance Theory)』を提唱したスタンフォード大学のクランボルツ先生は、このような態度でいる事によって、自分にとって好ましい偶然に遭遇しやすくなること。そして、そのために@好奇心、A持続すること、B柔軟でいること、C楽観的に考えること、Dリスク・テイキングの5つのスキルを身につけていくことが大切であると述べています。

「あえて決めない態度」によって可能性を広げることも時には必要であることを、今後も学生たちに伝えていければと考えています。



   
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