私は所属する生活科学科福祉こども専攻において、保育者養成にかかわる授業を担当している。主に、保育士資格取得のための専門科目を担当している。
福祉こども専攻では保育士資格および幼稚園教諭二種免許状を取得することができる。入学してくる学生たちのほとんどが、将来「保育所(園)の先生」や「幼稚園の先生」になりたいという希望を持っている。元気いっぱいの子どもたちとの明るく楽しい園生活を夢見ているものと思われる。
私が担当している授業科目は児童家庭福祉にかかわるものである。保育士資格取得のためには必修となる分野であるが、「保育所(園)の先生」をめざす学生たちにとっては、少々堅苦しく退屈な授業内容が多いのではないだろうか。
たとえば、「こども家庭福祉」という授業の第1回目には、保育士は「児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者」であることを説明する。子どもたちとの楽しい園生活を思い描いている学生たちの表情が少し曇る。また、「社会的養護」という授業では保育士は保育所(園)のみならず、さまざまな児童福祉施設に勤務して活躍していることを説明する。近年、虐待を受けた子どもたちが多く生活している「児童養護施設」、障がい児のための「障害児入所施設」や「児童発達支援センター」などにも保育士が配置され活躍していることを説明する。学生たちの表情が固く緊張する。学生たちが思い描いている「保育所(園)の先生」とは異なる保育士の姿がそこにはある。このようなことをある程度は理解したうえで入学してくる学生もいるが、多くは入学後に初めて知る。
「保育所(園)の先生」として、元気いっぱいの子どもたちと明るく楽しく過ごすことを夢見ている学生たちに、いかに関心を持って私が担当する授業を受けてもらうか。さらに児童養護施設などに勤務する保育士の仕事のやりがいや魅力をどうすれば伝えることができるのか。日々、授業を振り返り、授業内容・方法を改善している。
例年、数名の学生が児童養護施設などへの就職を希望する。今年度も数名の希望者がいるようである。