了コ寺大学は千葉県浦安市に立地し、現在は理学療法学科、整復医療・トレーナー学科、看護学科の医療系三学科からなる健康科学部の単学部大学となっております。学生たちは卒業時の国家資格取得を目指して、座学や実習に取り組む日々を過ごしています。
学生と接する中で彼らの心優しさや素直さに好印象を覚え、対人援助職を志すだけの資質を備えているなあと感心することが多くあります。その一方で、基礎学力面での懸念や授業を睡眠時間に利用している者、あるいはそもそも授業に欠席がちである者などに頭を悩ませるケースが散見されるのも事実です。寝ている者を起こして回ったり、厳密な出席管理を行ったりして対応せざるを得ないことに切なさと物悲しさを感じることもたびたびですが、深い学びを与え切れない己の授業力の乏しさ、白熱教室の如くには授業でのワクワク感を提供できないことへの口惜しさ、情けなさに打ちひしがれることも時にはあります。
ただ、言い訳じみて聞こえるかもしれませんが、学生の側にも勉学に打ち込み切れない背景が見え隠れすることもあるように思います。
一つには、昨今話題にされる経済的背景です。近年の我が国における家計状況は、地方出身者での仕送り額が年々低下していることに反映されていると言ってよいでしょう。アルバイトに追われる学生は睡眠時間も自宅学習時間も確保できないのかもしれません。私の所属する看護学科では、将来の就職を約束することでの病院からの奨学金受給ということが全く珍しくなく、早々に自分の進路を限定させてしまうことへの一抹の不安もなきにしもあらず。大学進学率が高まる中で、家庭の経済格差が学力格差に通じてしまうとなると、国公立大学への進学を断念し私学を目指す学生ほど基礎学力不足が目立ち、高い学費を賄わなければならなくなるという、社会の矛盾のしわ寄せを背負わされているのではないか。
授業内容だけでなく、その周辺への目配りも含めた学生支援の必要性を感じる昨今です。