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あっとおどろく大学事務NG集
 
 

 青森中央学院大学 加藤 澄

ブレイブ・ヤング・ガールと教育


「皆が、私のこと、汚いだとか、男の子みたいだとか、何だとか言ってジロジロ見るの」と言って、一人の坊主頭の11歳の女の子が語る。明らかに小児がんの化学療法による副作用によるものとわかる。そこに別の頭を坊主刈りにした元気な女の子のショットが現れて、「一人ぼっちで淋しくさせたくないから」と飄々として語る。どうやら少女はがんを患う少女が坊主頭一人では淋しかろうと、自分も同じ頭にしたらしい。それから2人の少女が、校庭で一緒に楽しそうに遊ぶショットが流れ、再び、最初の女の子が、「だけど、今は一人じゃないから嬉しい」と明るく答える。「びっくりして。だけど坊主にしてくれってあまりにもしつこくて。だから刈ってやったの」とお相伴で坊主頭にした女の子の母親が、続くシーンで淡々と応じる。この母にして、この子ありというところであろうか。娘はいたって、自分が特別なことをしたという意識は皆無に見える。器の大きさとはこのようなことを言うのだろう。

しかし、その状況に学校側が介入する。髪の毛を剃った生徒は登校することを許されないという規則を持ち出して問題化させる。女の子は髪が伸びるまで出校停止となる。そこで生徒の保護者達から異論が沸き起こる。ついにその声が大きくなり、学校は大勢の保護者がつめかける中で、少女の復学を理事の多数決に委ねるという事態に至る。結果、4人の理事のうち、3人が少女の行為は規則に反するものではないとの判断を下した。

アメリカのニュースのひとこまである。1年以上も前のニュースなので、多少の不正確さはご容赦頂くとして、この話題が全米のニュースワッチャーに静かな感動を呼び起こした。  

人を思いやる気持ち、共感能力は言わずもがな、人の目を気にすることなく、自分が正しいと思うことの信念を貫く意志のあり方に脱帽である。どうしたらこのような人格が育つのだろう。このような人格が育つには、何が必要なのだろう。心理学的に見れば、家庭環境が第一の功績者である。アメリカが生んだ20世紀の最も偉大な精神科医の一人であるSullivanは、幼少期から青少年期の間にその先の人生を左右する人格形成が成るとする。しからば、大学教育が学生の人格形成に寄与する隙はもはやないのであろうか。いや、まだやれる?諦める前に、ゼミのような学生と直に接する授業を最大限活用できないものかと自問する日々である。







   
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