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特色ある教育の開発、教育力の向上をめざして

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 |山形大学  栗山 恭直
 

人材育成を始めてみて

大学は、学士課程を通して学生を育て社会に送り出してきました。表題の人材育成は、大学のことではなく、地域の人材育成の話です。理系の研究者は、理科離れが叫ばれ始めたころから理科の面白さを子どもたちに伝える工夫をしてきました。どこの大学でも地元の子どもたち相手に理科教室を開催していると思います。山形県では、県の商工労働観光部が中心となって県内の理科系機関が集まって情報交換会を行ってきました。そこで明らかになったことは、延べで年間一万人の子どもたちがそれらの機関等で開催されているイベントに参加していた事実です。「これで足りないのだろうか?」という話になりました。子どもたちは理科が大好きでどのイベントも大盛況です。問題は、学年が進むにつれての理科離れだということで意見が一致するのです。イベント対象を中学生に広げても参加者は集まりません。中学生は、忙しいのでしょうか。部活必修のために参加しないのでしょうか。県教育委員会との連携関係が構築されてきたことで、昨年度、JSTの次世代科学者養成講座に採択され、山形県内の中学生を中心に理科の人材育成を始めました。選抜することになっているので、公募を行いましたが、中学生が集まりません。小学生は沢山の応募があるのですが、メインの中学生が集まりません。中学生の3分の一しか、小学生を合格できないので、理科クラブがある中学にお願いしました。選抜は、集団面接、集団実験、個人面接と評価基準に基づき選抜しました。結果として中学生と小学生を選抜できました。選ばれた小学生は、中学生よりも点数が高い子になりました。

山形県では、将来のメダリストを目指す「ドリームキッズ」のプログラムを始めています。ノーベル賞を目指す子どもたちの環境は遅れているように思います。(彼らがノーベル賞をめざしているわけではありません。科学が大変好きなだけです)公募する時も県教委の人にちらしに書いてあった「サイエンスエリートの養成」の言葉は山形では、向かないと言われました。昨年一年間、子どもたちと活動して良かったと思います。皆、科学が大好きです。一人ひとりにiPadを配布して、課題提出やSNSで使いました。山間部の小さな学校の受講生は回りに同じ趣味?の子どもがいないのか積極的にSNSで発信していました。学校を超えた友達ができたわけです。大学院生もTAとして参加し、受講生から慕われて、教育的な効果もありました。しかし、残念なことに2年目の採択になりませんでした。

今年の2月に受講生に次年度の研究課題の構想を発表してもらいました。その時に、次年度の開催について決まったら連絡すると伝えました。前述の受講生は毎日郵便を楽しみにしていると、保護者の方から伺い、大人の都合でやめるのは簡単ですが、可能なら続けたいと思いました。県の担当者も変わりましたが、引き続き協力していただけるそうです。大学からのサポートは難しく、協賛企業等を見つけていくしかありません。持続可能な仕組み作りが今年の課題です。人材育成は簡単に結果が出るものではありません。来年のこのコーナーでその後を報告できるといいのですが。

 

 






   
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