Japanese/Englishリンクお問い合わせ

特色ある教育の開発、教育力の向上をめざして

週刊・授業改善エッセイ
つばさとは?
つばさ連携校
事業内容
FDカレンダー
週刊・授業改善エッセイ
あっとおどろく大学事務NG集
 
 

鶴岡工業高等専門学校 : 松橋 将太

学校の放課後
〜 対応力と適応力を備えて欲しい - マルチタスクを経験する大切さ - 〜


人間力を底上げする上で大切だと思うことについて、私が教員として身を置く『高等専門学校』という教育現場における学業、課外活動(部活動)を例えとして記してみたい。

私は近頃「学校の在り方」が以前と変化しているように感じる。というのは、「学校は学業・研究の成果を求める場で、その他のタスクは学校外で・・・」という割り切りのような空気が学内で感じられるからである。そして、その変化は学生、教員の両者に及んでいるように思われる。

ひとつの例、総務省実施の実態調査によれば、運動部の所属状況は、中学生で全体の7割、高校生で全体の5割を示す。また、同調査によれば、文化部所属状況は、中学生で全体の2割、高校生で全体の3割である。一概には言えないが、中学生から高校生に進学すると部活動所属率は減少し、特にいわゆるしんどい系の運動部においてそれが顕著となる、と見ることができる。

私は決して「必ず部活動をすべきである」という立場を取るつもりはない。家庭環境によっては部活動をしたくてもできない学生も少なくないからである。しかし、明確な理由を持たずして、放課後の時間を「些か勿体なく」過ごす学生が多い、と感じるのも事実である。アルバイトに勤しむ者もいるが、金銭の利益追求に向けた意志決定もそれぞれの家庭環境を踏まえれば一概に否定はできない。それでも、自分自身の成長を長期的な目で見たときに、考えてほしいことがある。

「今後、生きていく上で、一体どれ程に "個でいられる時間" があるか。」

「今後、生きてく上で、いったいどれ程に"他者との関わりを持つ場所"があるか。」
この事を考えたとき、眼前にする学生の生活スタイルに対して、私は危機感を持たずにはいられない。それは、学生が自身の居場所(コミュニティー)作りを避けているようにも感じるからである。お互いの立場や過ごした時間の違いにより、様々な関係性があることに気づく機会、その中で自身が持つべき責任感や信頼関係を構築するためのノウハウを獲得する機会、TPOによる切り替え等を経験する機会、そういったチャンスを逸している危惧、すなわち、「様々な立場、多くの人と関わりを持つために必要な能力を養成する場面を自らが減少させているのではないか」という危機感である。さらに、学校という環境で勉学のみの生活になってしまうと「学校=知識習得の場」と限定され、「学んだことを、どこで、誰と、どう活かすか」という「実践的な適応力」が育まれなくなるのではないか、と懸念する。
 学校に対する考え方、価値観は人それぞれである。私の想う学校とは、勉学や研究に限定された場ではなく、友人との会話や課外活動等、学校生活で起こりうるあらゆる事象の状況下で、他者との関係性を学び、関係を維持する大切さを感得し、時に自分に不都合な状況でも「対応・適応できる力を育む最適な場所」でなければならないと考える。
   そのためにも、学生には学校の放課後に自分の居場所(コミュニティー)は構築する努力をしてほしいと切に願う。


   
  Copyright 2009 Yamagata University higher education research project center , All Rights Reserved.
 
このホームページに関するご意見・お問い合せは、山形大学教育開発連携支援センターまで。
山形大学 教育開発連携支援センター 〒990-8560 山形市小白川町一丁目4-12
TEL:023-628-4707 FAX:023-628-4720 k3cen@jm.kj.yamagata-u.ac.jp