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石巻専修大学 : 依田 清胤

「こちらを立てれば、あちらが立たず」


最近、"アクティブ・ラーニング"をうたった研修会に触れる機会が増えた。"能動的学習(修)"とも表現されている。文部科学省の定義によると「教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称」とのことである。そこでこの機会に改めてこの活動について考えてみた。

大学の同僚と立ち話をするにつけ、さまざまな実験や実習、卒業研究など、理工系の学部では"アクティブ・ラーニング"はごく日常的な活動だよな、という点で意見は一致する。学生たちは自ら考えながらデータや資料をあつめ、レポートや論文に仕上げていく。これができなければ、卒業に赤信号がともることになる(とはいうものの、学生をなんとか卒業までたどり着かせるために毎年もがき苦しんでいる、というのが私の実情である)。

一方、この活動を大学の講義に取り入れていこうというのが最近の世の中の流れのようである。たしかに講義のなかで簡単な実験を組み込んだり、講義の素材の実物を教室に持ち込んで触れさせたりすると、学生の食いつきはいい。また(これは大学生ではなく、私の担当する高大連携校の高校生に対してだが)、毎回の講義についてレポートを書かせ、そのなかから回ごとに優秀なレポート数点を選出して'優秀レポート集'としてまとめている(これがなかなかよくできていて、いつも読むのが楽しみである)。さらに受講生ごとに提出されたレポートを'自らのレポート集'としてまとめ、講義の最終回にこれらのレポート集をあわせて各受講生に返却し、'自らのレポート集'と'優秀レポート集'を比較した結果を最終レポートの課題として提出させている。優秀レポートに繰り返し選ばれる生徒はだいたい数名に絞られるが、私が手ごたえを感じるのは、それ以外の生徒たちの反応である。刺激を受けたというもの、落ち込んだというものなど反応は様々だが、身近なところに良いお手本があるというのがやる気を引き出すツボであるように思う。これからの課題(というより悩み)は、このような仕組みを実践しても反応の薄い生徒に対してどのような手立てを工夫するか、ということである。

さらに高大連携で取り入れている仕組みを大学の講義で展開することには、多少なりとも戸惑いを感じている。というのも、知識の幅も興味の強さも、さらには学んだり世の中に出ていく意欲でさえ、学生ごとにより大きな差があるからである。こちらを立てればあちらが立たず・・・悩みは一向に解消しそうもない。まあ、あきらめず前を向いていくしかなさそうだ、と自分に言い聞かせる毎日である。





   
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