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 山形大学  千代 勝実
 

授業は学生とともに創る

授業を担当していても、そして毎年同じように同じ内容を実施していても、先生によって、そして年度によってもクラスの雰囲気というものは異なります。ここでいう雰囲気とは、学生の授業に対する学びの姿勢や、ほかの学生との関係ということです。こういう雰囲気は、ワークショップやフィールドワークなどを実施する、強度の高いアクティブ・ラーニング型授業ではとても重要だと認識されていますが、実際には従来型の教授形式の授業の方が教育効果や学生の授業評価という観点からより重要です。つまり教員が学生と相互作用をあまりしないなら、予習復習はもちろんのこと、授業中の私語や内職(ひどい場合にはゲームやLineなど)、遅刻・早退や欠席、さらにカンニングといった学生の行動を正しい方向に向けるのは、クラスの雰囲気だけになるからです。そういう意味ではクラスの雰囲気は原始的な教員と学生、学生と学生の間の相互作用といえるでしょうし、こじつけになるかもしれませんが、学ぶ姿勢の涵養を含めた広い意味でのアクティブ・ラーニングとも言えるかもしれません。

私は15年くらい大学で授業を担当してきましたが、やっと納得のいく程度にはクラスの雰囲気をどのタイプの授業でも同じ程度に保つことができるようになりました。山形大学の学生が比較的まじめ、ということもありますが、遅刻や早退、欠席はほとんどありませんし、私語や内職、不正行為などもありません。寝ている学生はたまにいますが。教授型の授業でも積極的に教室の風紀の確保、プリントの配布や余りの返却、他の学生の手助けなどに自発的に参加してくれます。これは、学生を信頼し授業の共同運営者として尊敬するようになってからと感じています。共同運営者として授業情報を十分に提供すること、積極的に学生に手助けをお願いすること、教員からお礼や挨拶をすること、でしょうか。また、学生を信頼している表現として、学生が自身や他の学生の評価をする機会をつくる、ちょっとしたズルを排除するための面倒を学生にかけさせない、教員と学生が疑いをもたないですむような環境作り、などでしょう。とにかく事前に情報を十分に与えて学生に判断させることと、教員が学生の不利になる恣意的な判断を行わない、この2つを意識せずにできるようになれば、私が授業をしなくても勝手に学生が学んでいくように感じます。

そういう気持ちのいい雰囲気の授業が続くうちに、15回目の授業の最後に「みなさんと一緒に勉強できて本当に楽しかったです」という言葉が口をついて出てくるようになりました。授業改善アンケートの自由記述欄にも「ありがとうございました」とあると「いえいえこちらこそありがとう」と思います。確かに教育手法も大事なのですが、教員と学生の姿勢というのも、学びの心理的負担を減らす、むしろ授業に臨むのが楽しいと思える大切な要素でしょう。精神論のように感じられる方もいらっしゃるでしょうが、こういう姿勢をどういうふうに体系的に教員へ広められるかというのもFDの大事な側面のように思います。

 

 






   
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