『礼に始まり礼に終わる』
私は現在、基盤教育(教養教育)でキャリア教育の授業の担当と合わせて、進路・就職支援も担当しています。
最近、採用担当者と話をしていると気になることをいくつか言われました。
それは、本学の学生に限らずですが、無断での説明会や選考の欠席が多くなったこと、そして入社後もそうですが、基本的な「挨拶」ができないという話です。
学生から社会人になるうえで必要な社会的なスキルの獲得は、様々な組織活動や人間関係を通して養うことができます。しかし、家庭の問題もあるかとは思いますが、アルバイトをしない学生やサークルや部活動をしていない学生が増えているように感じます。また参加していても、組織で教えてくれる人が少なくなっているなど、社会に出る前に学ぶ機会が少なくなっている可能性があります。仮に教えてもらわなくとも、社会に出てから学ぶことが多くあるかと思いますが、近年企業側も余裕がなく、人材育成に悩みを抱えている状況があります。
文部科学省は、キャリア教育を通して社会で活躍するために必要な「意欲」や「能力」や「態度」の育成等にかかる取組を通して、変化の激しい社会を生き抜くための力を育むことを目指すと述べています。
そこで、私の担当するキャリア教育の授業を通して、社会に出て困らないようにしてあげたいと考え、1つ本格的に始めているのが授業の始まりと終わりに挨拶をすることです。
特に授業のはじめと終わりに「先言後礼(せんげんごれい)」を意識し、挨拶しながらお辞儀をするのではなく、元気よく挨拶をしてからお辞儀するといったきれいに見える挨拶をするよう取組んでいます。また、授業中のグループワークをランダムして毎回違う学生とワークをさせているので、そこで知り合った学生と学内であったら挨拶をしてみるようにと勧めています。
最近、授業終了後に提出してもらう振り返りシートに、「学内で挨拶する人が増えて、そこから他学部の学生と友達になれた」など授業外での交友関係が広がったという報告がありました。また私も学内を歩いていると「キャリデザ(学生は私の授業をこのように呼ぶらしいです)取っている学生です。こんにちは。」と挨拶をされることがあります。ちょっとした挨拶ですが、お互い気分が良くなり、さわやかな気持ちになるものです。少しずつですが、このような効果が出てきたことをうれしく思っています。ぜひ一過性のものにならないように、今後も続けていってもらいたいと強く願っています。