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 山形大学  橋爪 孝夫
 

「書き残すことと振り返ること」

最近は授業の中でポートフォリオの活用に力を入れている。

ポートフォリオと言ってもいわゆる「本格的」なものではなく、A4一枚の紙を六分割し、裏表で12か所の記入欄を作った厚紙のことである。いわば「簡易ラーニング・ポートフォリオ」。

全15回の授業の中で大体毎回、何かしらの文章を書いてもらうことになる。元々、毎回の授業でリフレクション・ペーパーを書いてもらっていたので、これを1枚に集約したと考えることも出来る。

スペースの関係で文字量は多くはないが、毎回の記述内容を工夫することで様々な可能性が生まれる。例えば大学の歴史に関する授業で言えば、学期の初めの方で「大学とは何か」について記述してもらっておき、授業が進んでいくに従い「かつて自分が書いた「大学とは何か」のポートフォリオ記述を確認し、中世ヨーロッパの大学について学んだ現在の時点での考えや思考の変化を記述する」というお題を出すと、この簡易ポートフォリオが15回の授業の中を垂直に貫く思考の軸を表すツールへと変化していく。  

この他、学生の意見をポートフォリオに文章として記述してもらい、これを小グループで回し読みしながら他の学生がコメントを付けていくワークを行うと、学生同士のディスカッションより明らかに互いの意見に対する理解度が上がっている様子がわかる。しかも自分の意見とそれへの他者のコメントが全て記述内容として手元に残り、後日一目で確認できることも意義が大きい。  

「書く」という作業は学びの基本であり、頭の中でどれ程きちんとした思考を行っているつもりであっても、実際に書き出してみると書けない、ということは良くあることである。文章にしてアウトプットして行く過程で自らの中に生じた学びや疑問に気付く意味もある。ポートフォリオを「省察的思考を促すためのツール」と定義づけた例もあるが、簡易的な物であっても運用次第で学生の学びを豊かにしていける手ごたえを感じる。





   
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