Japanese/Englishリンクお問い合わせ

特色ある教育の開発、教育力の向上をめざして

週刊・授業改善エッセイ
つばさとは?
つばさ連携校
事業内容
FDカレンダー
週刊・授業改善エッセイ
あっとおどろく大学事務NG集
 
 

山形県立保健医療大学 : 神先 秀人



本学は、看護学科、理学療法学科、作業療法学科の3学科からなり、医療専門職の育成を主たる目的とする一学年100名程度の小規模大学である。「教育目標」の1つに、「多様な保健医療専門職の役割を理解し、チーム医療に必要な諸能力を備え、実践できる人材の育成」を挙げ、3年次の必修科目に3学科共通の「チーム医療論」を設定している。本稿では、「チーム医療論」を担当する教員として、本授業の紹介をさせていただく。

「チーム医療論」は、3学科の教員および基礎教育担当教員(医師、現学長)の4名が連携して教育に当たっている。授業は、学内教員と学外講師による講義と医療現場に出向いて行うチーム活動の見学、そしてロールプレイ形式の事例検討の3つが主な内容である。

各医療専門職の講義では、それぞれの仕事内容や活動状況、資格取得方法などの紹介に加えて、各専門職の立場からチーム医療のあり方に関する提言が行われる。本年度は、学外講師として、言語聴覚士、薬剤師、臨床検査技師、臨床工学士、栄養士、管理栄養士、社会福祉士、精神保健福祉士および県(行政)職の方々を招き、話を伺った。  

医療現場の見学・体験に関しては、 3学科混合の5〜10名のグループを作り、グループ毎に、1つ又は2つのチーム医療現場を見学する。見学内容や体験回数は各現場により異なるが、チームを構成する各専門職から具体的な役割について説明を受けたり、カンファレンスに参加したり、病棟回診に加わり、患者さんに直接触れる機会を設けていただいたりしている。本年度は,「栄養サポートチーム」、「呼吸サポートチーム」、「緩和ケアチーム」、「感染対策委員会」、「褥瘡対策委員会」など、5病院、計12のチームまたは委員会に協力いただいた。

事例検討に関して、昨年度は大腸がんの症例を取り上げ、3学科混合の各グループで、病態について学習するとともに、各専門職の立場からの目標設定やケアプランの策定、ならびにチーム全体としての目標設定などを行った。そして、その結果をレポートとしてまとめる作業を行った。また、学生たちが作成したレポートに、教員が事例に対する各専門職の立場からの見解を加え、毎年、学習成果報告書として刊行している。

このように多職種の講師から直接話を聞くことや実際の現場を見学すること、また他学科の学生と交わり意見を交換することで、チーム医療における他職種への理解や相互のコミュニケーション能力を高め、将来、医療職として勤務する際に役立つことを願っている。

毎年行っている学生による授業評価は良好で、また,2016年度に行われた大学基準協会による本学の認証評価においても、この「チーム医療論」は、「実践的な多職種連携教育を行っており、各職種の役割や医療現場の実態に対する学生の理解を深めている」として、高い評価を受けている。

学内教員が担う役割は、各専門職としての講義と事例検討のシナリオや報告書作成のみならず学外講師や見学施設への依頼や調整、学生の引率などがあり、多くの時間と労力が必要である。また、混合グループを編成するため、学科の枠を超えた教員相互の協力が不可欠となる授業である。

しかし、私自身の取り組み姿勢がどうであったかを省みると、担当して10年になるが、貢献度は低く、未だに他の先生方に甘えさせていただている状況である。熱意や愛情に満ちた学内教員および学外講師、現場の各医療職の方々に感謝する次第である。


   
  Copyright 2009 Yamagata University higher education research project center , All Rights Reserved.
 
このホームページに関するご意見・お問い合せは、山形大学高等教育研究企画センターまで。
山形大学 高等教育研究企画センター 〒990-8560 山形市小白川町一丁目4-12
TEL:023-628-4707 FAX:023-628-4720 k3cen@jm.kj.yamagata-u.ac.jp