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湘南医療大学保健医療学部 看護学科: 山本千紗子

学生のコミュニケーション能力の向上
〜2分間スピーチのすすめ〜

保健師育成のための公衆衛生看護学領域を担当している。開学3年目を迎えて定員20名の選択制による保健師課程がスタートした。保健師はあらゆる年齢の地域住民を対象に保健指導や健康教育・家庭訪問などを行うため、コミュニケーション能力が必要である。かつて、保育士と幼稚園教諭を育成する幼児教育科でも教えていたことがあるが、保育士は日々連絡帳に子どもの様子を記述し、自分よりも年上の保護者に保育指導を行う(児童福祉法第18条4)ためコミュニケーション能力が求められる。コミュニケーション能力の不足は早期離職の原因の一つであるとも言われている。その能力を高める方策として10年余り継続実施している「2分間スピーチ」と研究結果を紹介したい。事前にスピーチの仕方を指導し、新聞・ニュースからトピックを選び、概要・意見を書いて時間を計って練習することを伝え、スピーチ後にコメントと関連情報を与えた。スピーチ実施前と学期末毎に同一の質問紙で事後調査を行った。コミュニケーション関連の設問は「初対面の人でもあまり緊張せずに話せる・文章を書くのに慣れてきた・人の前で話すのに慣れてきた・本や新聞をよく読むようになった・社会問題に関心をもつようになった」の5項目で、4.とてもそう思う〜1.そう思わない(4〜1点)で得点化し、対応のある群においてWilcoxonの符号付順位検定を行い、自己評価の変化を測定した。3学期間に計3回経験した群、1学期間に1回経験した群と5回経験した群の全てにおいて、コミュニケーション関連5項目の自己評価は向上した。特に3学期3回経験群では回を重ねる毎に変化量|z|値は増大していた。学生の感想では「人の前で話すのに慣れ今後役に立つ・自信がついた・社会問題への関心が高まった・知識が増えコメントにより理解が深まった」と総じて肯定的で、回を重ねるほどにトピック選びが積極的になり、他の学生の内容を主体的にさらに深く調べてくる学生が見られるようになった。つまり、今日の教育改革、高大接続に頻出する「アクティブ・ラーニング」を先取りしていたことになる。学生の感想と研究結果に力を得て今日まで継続し、現在も保健師課程で実施している。言葉は「確かな学力」を形成する基盤であり、スピーチには「読む・書く・話す・聴く」のすべての要素が含まれる。初めの頃は原稿を持つ手が震えていた学生も、回を重ねて早くも堂々とスピーチできるようになりつつある。自らのコミュニケーション能力に自信をもって卒業し、地域住民のヘルスプロモーションに貢献できることを願っている。





   
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