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筑波技術大学  : 永盛 祐介

「聴覚障害学生の教育に携わるということ」


私が所属している国立大学法人筑波技術大学は,日本で唯一の視覚障害者・聴覚障害者のための大学です。学部は聴覚障害学生向けの産業技術学部,視覚障害学生向けの保健科学部の2学部で,両学部のキャンパスは2キロほど離れた場所にあります。私は産業技術学部において,聴覚障害学生に対して視覚伝達(グラフィック)デザインの教育に携わっています。

障害者に関連する研究を行ってきた延長線上で本学に着任する教員もいますが,私を含め多くの教員は,着任するまで本格的に聴覚障害者とのコミュニケーションをとった経験がありません。私であればデザイン学など,自らの専門性を鑑みて本学に着任し,聴覚障害学生への対応を学びながら講義をしていくことになります。

本学では新人職員に対して,聴覚障害の特性,対応の基礎的なノウハウや手話を学ぶ研修が用意されています。たとえば聴覚障害にも様々な様態があること,彼らは手話だけではなく補聴器を通して聞こえてくる音声,口形などを手がかりにコミュニケーションをしていること,よって,講義の際は板書しながら喋るのは厳禁で,喋るときは前を向いてハッキリと喋るといったノウハウを学びます。また手話については挨拶や数字の表現,学修に関わる基本的な手話,50音を表現する指文字などを学びます。着任後にすぐに講義を担当するのは他の大学でも同じだと思いますが,本学ではそれと並行してこのような研修を受講することになります。

もちろん研修で全ての聴覚障害学生対応が学べるわけではなく,講義の前には手話事典を用いてその日に使う予定の手話を事前に覚えること,スライドをわかりやすく工夫すること,Eラーニング教材を準備することなど,自主的に対応を工夫する必要があります。また,私は着任して9年目になりますが,今でも講義中に,学生に手話表現を教えてもらうということが多々あります。学生はいやな顔ひとつせず手話を教えてくれます。

聴覚障害学生にデザインを教えるという仕事に就くにあたり,当時は大学での講義経験が無い上,聴覚障害学生に対して講義をするという事に対して大きな不安を抱いておりましたが,研修制度や先輩教員,そして学生達に支えられながら,伝わる講義をなんとか実践できるようになってきたかなと思っています。先輩教員の講義と比べるとまだまだと思う部分や,自らの講義を省みて,私のコミュニケーション力不足により生じている非効率性を実感することは未だに多々あります。今後もわかったふりをせず,わかりやすい講義を実践すべく,日々努力を重ねていきたいと思います。




   
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