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宮城学院女子大学 一般教育部(フランス語担当) : 間瀬 幸江


現在の本務校に着任して2年目、「3年間フランス語を取っているのに全然しゃべれません」と学生に悲しげに告白されたことがあった。毎週1回90分間、教室に座っているだけで使えるようになる外国語などない。授業時間外の自主的な勉強につなげることが必要だ。「しゃべれるようになる」という幻想のなかで「まじめに」授業を受け続けてきたその学生を慮り、いたたまれなかった。

改めて考えてみる。そもそも自分はなぜ、外国語を使えるようになったのか。

私はいわゆる「まじめな」学生ではなかった。そもそも大学でフランス語を選択しなかった。入学後にふとしたことからフランス語こそやりたいと思い至ったが登録変更を認めてもらえなかった。そこでラジオやテレビの講座に挑戦したり、通信添削を受けたりして学んだ。大学のフランス語関連科目もいくつか履修したが、メインの学習環境としてではなく、自分の習熟度を把握するためだった。そんな私を「変な学生」と面白がってくださる先生方もあり、キャンパスで鉢合わせするたび、質問攻めにしたり、下手な文章を添削をしてもらったりした(あの時の先生方、感謝しております)。

要するに私は、フランス語を学ぶ環境そのものを、自分で作っていた。授業や先生は、その環境をつくるためのパーツだった。これと相似形のなにかを、授業運営の枠組みのなかで実現することが、外国語科目運営の一つの理想だと思う。鍵となるのは、習熟度の確認方法の提示と、先達としての自負をもって教員が学習者にさしだす信頼と肯定、そして学習者の好奇心、この3つだ。この3つがぐるぐる回転しながら影響を及ぼし合う授業がいい。最初のふたつを教員が持ち込み、3つ目の「好奇心」を学生が持ち込むとき、外国語科目のダイナミズムは生まれる。

件の学生の悲しげな告白を聞いてから3年ほどたった。「まじめに」授業を受ける以外の面白さに接続するような環境づくりに、今日も注力している。そしてそれは、試行錯誤の連続である。


   
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