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了徳寺大学  : 盆子原 秀三


リガンドとレセプターによる相互関係

大学に入職して最初に戸惑ったのは教授法である。一つ一つの授業において教育の質を保証していくことが重要な課題であると認識していたものの、大丈夫かな?と自問自答を繰り返していた。そんななかFD主催の公開授業に出席した。その公開授業は病理学の座学講義で、担当講師は海外での大学研究、教育歴を持ち、免疫学では著名な先生でした。こんな好機はないと思い、授業風景をビデオで録画することを許可して頂いた。その録画をもとに講師の動きをワークサンプリング法によりエクセル上に表し、講師の学生への伝え方の動作を総時間当たりの割合で表してみた。さらに授業の構成を内容別にカード化し、講師と共に図解を試みた。その結果、思いもよらない多くのことに気付かされた。

その講師の伝え方は、黒板に図や表を書きながら説明する昔ながらの教授法で、完成された図を始めから示すのではなく、まったくない状態から描きながら完成していくものである。きれいなスライド、見やすい完成された結果からの説明ではなく、説明しながら埋めていく過程に理論的な思考過程があることに驚かされた。また学生に正面を向きながら、自身の経験上の問題や社会的な事件などを一般論に置き換え、医療人として認識すべき事を強調していた。そのときの身振りや口調の強さが非常に印象的でした。また講師によると教科書に書いていない用語については、学生へのリスペクトであり将来の医療人へのメッセージであるとおっしゃっていた。

理解していく過程には、学生のレセプターに対する多くのリガンドとしての刺激が多く存在することが必要である。また刺激の種類が多様であるほうが望ましい。教授法において熟練していくということはどういうことなのだろうか?昨今の講師の多くは種々のメディアにたよることが主流になっている。学生の知識がない状態での教育において、どのように刺激を入力していくか、学生のレセプターにどう問いかけていくかについて再考されるべき点が多々ある。いつも若手の教員に"教えることが大変楽しい、教えるということは畏敬の念をもつことだ"とおっしゃっていた。私にとってその講師との出会いは、今でも大きな意義を持ち続けている。





   
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