Japanese/Englishリンクお問い合わせ

特色ある教育の開発、教育力の向上をめざして

週刊・授業改善エッセイ
つばさとは?
つばさ連携校
事業内容
FDカレンダー
週刊・授業改善エッセイ
あっとおどろく大学事務NG集
 
 

山形大学 杉原 真晃
(基盤教育院/高等教育研究企画センター准教授)

たかが1年、されど1年

FDネットワーク"つばさ"は、平成22年5月時点で44校の加盟となり、おかげさまで充実したネットワークとなっています。先日開催いたしました第5回FD協議会に関しましても、充実した時間となったことを多くの方々から拝聴することができました。この協議会は盛況のうちに終わりましたが、「終わる」というよりも、「夢と希望のある未来へのはじまり」と言えるかもしれません。この1年で、"つばさ"も大きくはばたけるようになったと実感しています。みなさまのご尽力のおかげと感謝するとともに、私も"つばさ"協議委員の1人として、ささやかながら、今後の発展に寄与したいと思っております。
 さて、山形大学では、現在、「学生主体型授業開発共有化FDプロジェクト」(平成20年度教育GP採択事業)を進めています。昨年度は学生の社会人基礎力(積極性、問題発見能力、コミュニケーション能力等)の育成を目指した学生主体型授業のパイロット授業を展開し、学生への自己評価アンケートから、多くの学生の社会人基礎力が向上したことがわかりました。今年度は、パイロット授業で培ったノウハウをもとに、他の授業への応用を行い、全学的に学生主体型授業を展開しています。現在、教員同士の公開授業と検討会、ビデオ版ティップス集、シンポジウム、報告書・ウェブサイト等を活用したFDによって、学内外において学生主体型授業のノウハウを応用できるように工夫しています。学期末には、各授業から学生代表が集い、それぞれの学習過程や成果を報告し合う「課題発表コンテスト」を開催します。昨年度に行ったパイロット授業とそのノウハウの共有化は、たった1年の間の小さな一歩だったかもしれませんが、その成果は多く、そこから得られた知は今年度の大きな展開の源となっています。今年度の展開が今から楽しみであるとともに、みなさまにもご覧いただき、ご意見をいただき、また新たな刺激をもとに大きく発展させていきたいと思っています。
 さてさて、最後に私自身について述べたいと思います。私は、大学に勤める以前、幼稚園教員を約3年間行っていました。幼稚園教員、そして、その後の大学教員としての経験が、大学での学生主体型授業において役立つことが多々あります。しかし、当然ですが、「うまくいかない」こともあります。先日も、教養科目の(選択科目)の第1回目の授業で受講生が15名と少なかったので、その後の学習やグループディスカッションがより良いものになるようにと考え、受講生同士の自己紹介を行いました。しかし、15名中4名を占めていた3年生(その他は1年生)のヤル気のない表情・座り方、自己紹介での声の小ささ・表情の曇り具合等、モチベーションの非常な低さが教室内の空気を冷たいものにしました。その空気は、入学したばかりで心が開放的で、意欲も高く、緊張と期待の表情を見せていた1年生を瞬く間に包み込み、1年生は、困りとまどう顔、ヤル気が消滅していく身体へと化していきました。私は、「うわぁ、えらいこっちゃ〜。どうしよう〜」と冷や汗が背中をつたっていくのを感じながら、少々引きつった笑顔で正気を保つので精一杯でした。その日の授業終了後、どうしたものかと一瞬悩みましたが、「おもしろい。そっちがそう出るなら、こっちにも考えがある」と、逆に私の心は躍りました。その後、これまでのさまざまな経験を活かしながら学生との駆け引きを繰り返していくうちに、今では、受講生の活発な議論・深い洞察に、3年生の存在が欠かせないものとなりました。今年の経験は、今後の私の授業実践に大きな意味を与えるものとなると思っています。たかが1年、されど1年。貴重な時間を過ごさせてもらっている学生に感謝したい今日この頃です。

   
  Copyright 2009 Yamagata University higher education research project center , All Rights Reserved.
 
このホームページに関するご意見・お問い合せは、山形大学高等教育研究企画センターまで。
山形大学 高等教育研究企画センター 〒990-8560 山形市小白川町一丁目4-12
TEL:023-628-4707 FAX:023-628-4720 k3cen@jm.kj.yamagata-u.ac.jp