Japanese/Englishリンクお問い合わせ

特色ある教育の開発、教育力の向上をめざして

週刊・授業改善エッセイ
つばさとは?
つばさ連携校
事業内容
FDカレンダー
週刊・授業改善エッセイ
あっとおどろく大学事務NG集
 
 

 山形大学  小田 隆治
 (FDネットワーク"つばさ"議長)
 

   つばさ"のFDワークショップ「震災時の学生支援について」を開催して

 東日本の47大学・短大・高専からなる大学連携組織「FDネットワーク"つばさ"」において、平成23年6月11日に、表題のFDワークショップを山形大学にて開催しました。  ワークショップを企画するにあたって、通常は授業改善にフォーカスを絞っているのですが、今回、我々は東日本大震災から逃げることはできないだろうと考えました。"つばさ"は被災地である東日本全域にまたがる唯一とも言っていい大学連携組織だからです。
 しかし、この開催にあたっては迷いや怯えがありました。企画を立ち上げた4月には2カ月後の社会状況や人々の心情は皆目予想できなかったからです。被災した人たちとそうでない人たちが同じテーブルで話ができるのか、被災した大学関係者はもちろんのこと、そうでない人たちにもワークショップは得るものがあるのか、参加した人たちを傷つけることはないのか、我々は様々なことを心配しました。でも、識者の講演ではなく、当事者が話し合うことから始めたかったのです。
 ワークショップには、大震災で甚大な被害に遭われた岩手・宮城・福島の大学・短大・高専を含めて、北は北海道稚内市から南は千葉勝浦市に至るまで29校、47名の教職員が参加されました。
当日は地震から3カ月目にあたり、全員の黙祷で会が始まりました。グループ単位での情報交換は、指定された時間を超過しました。その後の全体会では時間いっぱいまでグループ発表が行われました。
 保護者が亡くなった学生、家が流された学生、保護者が避難所で生活している学生、避難区域から退去させられた保護者をもつ学生、父親が東電に勤めている学生、こうした異なった状況下にある学生たちが同じ教室で勉強し、中にはメンタル・ケアを必要としている者もいます。経済支援については、すべての大学で入学金や授業料の減免処置が取られているようですが、一方で、奨学金は大学間で差が生じているかもしれません。その他にも、@学年歴の変更、A15回の授業の確保、Bボランティア活動の実態とあり方、C就職活動の中断、D卒業生の引越し、E入学試験の対応、F緊急避難体制の見直しなど、多岐にわたる課題と対処が明らかとなってきました。
 これから緊急時の体制の見直しが各大学等でなされていくことでしょうが、今回話し合われたことで私の心に残ったのは、個々の学生の安否確認やその後の指導には、ゼミやクラス担任などの日常的な学生との深いかかわりが重要な役割を果たしたことが再確認されたことです。緊急時と日常の教育が分離されることはないのです。
 この大震災で深く傷ついているのは学生だけでなく、学生支援の適切さに真摯な自問自答を繰り返している教職員にもそれが見てとれました。大震災から3カ月、まだまだ傷は深いのです。
 私は受講生が200人いる授業で、学生と一緒に大震災のことを考え続けたくて、毎回怯えながらかれらに少しずつ語りかけることにしています。  "つばさ"の絆が東日本復興の一助になることを願っています。
   
  Copyright 2009 Yamagata University higher education research project center , All Rights Reserved.
 
このホームページに関するご意見・お問い合せは、山形大学高等教育研究企画センターまで。
山形大学 高等教育研究企画センター 〒990-8560 山形市小白川町一丁目4-12
TEL:023-628-4707 FAX:023-628-4720 k3cen@jm.kj.yamagata-u.ac.jp