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 山形大学  杉原 真晃
 
 

   震災と大学

 このタイミングで書くに際し、このたびの東日本震災について書くということから逃れることはできないと自覚しつつも、この短いエッセイの中で書くには足りない不足感と、同時に書くことへの恐れ・とまどいを抱えており、筆がいっこうに進まない日々が続いていました。そんな中、2011年6月12日の夜、NHK教育で「ETV特集 今こそ、力を束ねるとき〜神戸発・災害ボランティアの記録〜」という番組が放送されました。1995年に発生した阪神・淡路大震災を機に神戸を拠点に立ちあがったNGOがその後も全国・世界の被災地への支援活動を継続しており、このたびの東日本大震災についてもいち早く被災地での支援活動の拠点づくりや全国からのボランティア受け入れ等を行ったり、福島県から山形県米沢市に避難されてきた方々への支援活動を展開していたりする様子について報告がなされていました。私もこのNGOスタッフの方と一緒に米沢市にて支援活動を行っていたので、思うところがたくさんある番組となりました。この番組が印象的だったのは、番組の最後、エンドロールとBGMも流れ切り、番組が終わったと私の気分が遅い夕食後の食器洗いに向き始めた時、石巻の避難所で喪服を着た男性がNGOスタッフに語りかけ涙するシーンが2分間ほど流され続け、その後暗転し、静かに番組が終了したことです。
 私は食器を両手に持っていることも忘れ、しばらくじっと黙って立ちすくんでいました。番組が終わると同時に震災および支援活動は過去のものとなってしまう、そのことに対する危険信号を番組は発信していたのではないかと感じました。
 被災された方々の中には、震災についてあまり考えたくない、その現実に向き合えないという方も少なくないと思われます。
 幸か不幸か、私たちはこのたびの震災にかかわる地に存在しています。それは直接被災された方だけでなく、自分の地ではあまり影響がなくかえって被災地の方々との意識の差に恐縮するといった思いを抱く方も含め、生き残りました。震災はまだ終わっていません。今もなお、続いています。原発に関してはこれからさらに被害が大きくなっていくことも予想されます。私は、私たちは、これから何をしていかねばならないのか。前線での活動と後方支援、物質的ケアと精神的ケア、短期的支援と長期的支援、局地的支援と広域的支援…。FDネットワーク"つばさ"がまさしく翼を持って縦横無尽に飛び回ることで、これら多様な支援が可能となってくるのだと信じています。みなさまのお知恵・お力をぜひお分け下されば幸いに存じます。

   
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