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青森県立保健大学 増山 道康
(健康科学部社会福祉学科 准教授)
高校生向け教育プログラム開発のFD効果
高大連携授業と高校のための福祉介護研修講座という二本の高校生向けの福祉教育を受け持っている。どちらも高校生に「大学での学び」の一端を紹介することと将来のキャリア形成の資料となる内容を提供することが目的であるが、同時に、高校生にも理解できる教育を提供することで、私自身の教育力の向上にも役立っている。その点で個人レベルではあるが、FD効果があると感じている。
高大連携による授業提供では、通年科目「社会福祉学概論」の前期部分を提供しているが、高校生は、他の専門支持科目(導入科目)や社会学等社会科学系の教養科目を受講していないため、歴史や思想も含めた社会福祉の総合的な理解が困難である。そこで、他の科目の内容についても多少概括するようにしている。
具体的には、シラバスを社会福祉の理念、歴史的背景と分野、領域への導入的な内容を前期で行い、後期は、政策論を中心とした各論とする構成に改めた。昨年からは、導入科目を譚とすることとなったため、それを高大連携授業として提供しているが、シラバスの骨格は、それまでとほぼ同様となっている。特に世界史やグローバルな地域を背景とした思想や理論・理念の解説をわかりやすく行うことで、同事に受講している大学生にもわかりやすい授業展開となっていると感じている。
福祉介護研修講座では、座学部分は最小限にとどめ、社会福祉援助演習に準じたグループワークを中心とした演習を提供している。コミュニケーション・自他の価値観の相互尊重・高齢者障害者児童の理解といった単元を複数の教員が連携して提供している。演習の方法がそれぞれ異なるが、相互に方法を公開し内容を共有することで、自分自身の方法の長所短所がはっきりし、やはりFD効果は高い。演習を主としているため、1日中拘束されていても長いと感じることはほとんど無く、最初から最後まで興味を持って参加している。
こうした取り組みで少しでも社会福祉に興味関心を持つことがあれば、高校生にとって進路選択が豊かになろう。また、高校生が普段通学している高等学校とは、まったく違う世界で学習をすることで、自分とは異質なものへの共感や理解を深めることができれば、地域社会自体もそれにつれて変化するであろうという期待もあり、今後もこの二つの高校生向け福祉教育を継続していくことにしている。
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