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 鶴岡工業高等専門学校  飯島 政雄
 
 

   キャリア教育はFDか?

 大学・短大の大学設置基準が改正され、今年度からキャリア教育が義務化された。FDの次はキャリア教育なのか。この流れは専門の職業教育機関である高専にも来そうである。昨年10月での高専卒業予定者の就職内定率は94%にもなっている。これほど高い内定率でも高専にキャリアセンターや支援室なるものが必要なのか、自問してみた。
 大学設置基準の改正内容は、"社会的・職業的に自立できる能力を培うことができるよう学内組織の連携を図り体制を整備せよ"というものである。FDが教育の改善や質の向上を体制化して目指すものなら、キャリア教育もFDの範疇に入るはずである。これらをなぜ別々に義務化する必要があるのか? それに、社会的自立と職業的自立は何が違うのか?
 昨年1月の中教審答申「今後の学校のキャリア教育・職業教育のあり方について」を見てみる。この中で、キャリア教育=社会的・職業的自立のための能力の育成と定義している。つまりは、社会人として生きていくための人間教育ということか。一方、職業教育=職業従事のための専門知識・技能の教育としている。こちらは食べていくための職業に必要な専門の実践的教育である。でも、これは職業的自立のためではないのか。FDと同じく、キャリア教育もまた難解である。この難解な教育の全てを大学のキャリアセンターが担えるはずはない。そもそも、キャリアセンターとは何をやっているところなのか?
 「大学キャリアーセンターのぶっちゃけ話」(ソフトバンク新書)なる本を見つけた。この一冊でキャリセンターの実情と就活の実態、それにキャリア教育の現状がおおよそ理解できた。根底には少子化と大学全入があり、ウェブエントリーの就活システムにも問題があるという。本の帯には[どんな場所でもやっていける自分になるために]と書いてある。なるほど、これがキャリア教育のミッションということか!
 就職内定率が高いからといって高専も安穏としてはいられない。学校推薦でもなかなか内定をもらえない学生がいる。多様化する学生の資質、就職先、就活法、雇用形態に従前の就職指導は対応できなくなっている。どんなところでもやっていける自立心を持たせねばならぬ。キャリアセンターをつくらなくても自立を促す教育システムはできるはず。学内外の組織との連携を図り、これまでの就職指導を体系化するよう整備すればよい。その端緒は教育改善(FD)の委員会でやるべきもの、と自答した次第である。

   
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