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 苫小牧工業高等専門学校 中野 渉
   
 

「FDの育て方」
 本校では、現在、従来のFD活動の見直しを始めています。教職員アンケートやネットワークの会合を利用してFDへの意識を高め、ティーチング・ポートフォリオの導入や学生FDなど実効性のあるFD活動を試行していますが、まだまだこれからといった段階です。
 さて、この十数年間で日本の大学・高専にもFDが普及しましたが、その実像には学校間に様々なレベルのギャップが生じているようにも思われます。その活動が順調に成長している学校も少なくない一方、なかなか壁を越えられない学校もあります。何がこの差を作るのかをこの機会に、少し考えてみました。
 
■1 FDの発達段階
素人考えですが、FDの発達を大雑把に次の3段階に分けてみます。
T FDが行われていない段階(種まき前)
U FDがある程度動き始めた段階(発芽期)
V FDが十分機能し、スパイラルアップも図られている段階(成熟期)
無論、TからUの段階を経て、Vの段階に進むことが望ましいわけです。FDへの熱意あるいはノウハウが足りなければ、なかなか成熟期に到達できないことになりますが、これは熱意次第で改善を進められる余地があるので、まだ救いがあります。植物にたとえれば、肥料や水を与えればよいのです。厄介なのは次のようなケースでしょう。

■2 第四の状態
 例えば、「外部評価のため」という「やせた土」のうえにFDが導入されたような場合です。その学校がFDの趣旨を見失わず情熱を傾ければ、その場合でも成熟期(V)に向けて成長させられるでしょう。しかし、外部評価のための形式的な「エビデンス」を積み重ねているうちに、いつしか「立派にやっている」という錯覚に陥り、「外部から言われない限り現状を変える必要はない」という現状維持バイアスが蔓延し始めると黄色信号です。「FDが形骸化し、スパイラルアップも図られない」という第四の状態に至ると、「肥料や水」を与えても回復は難しいものになるでしょう。
 植物に適した土が必要なのと同様に、FDを育てるにはよい土壌が必要です。外部のためではなく「学生のため」という原点を忘れず、まずは「土づくり」や風通しの良い環境を作ることから始めることが、長い目で見ればFDを大きく育てるための賢明な道であるように思われます。"つばさ"の活動のなかでも、「土づくり」についての泥臭い情報が交換できれば、FD活動の幅広い底上げにつながるのではないかと考えています。

   
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