機械技術者倫理
 Mechanical Engineering Ethics
 担当教員:横山 孝男(YOKOYAMA Takao)
 担当教員の所属:工学部機械システム工学科
 開講学年:3年  開講学期:前期  単位数:1単位  開講形態:講義
 開講対象:機械システム工学科(Aコース)  科目区分:専門科目・必修 
【授業概要】
・テーマ
技術者には科学的知識を応用して、技術的な「価値」だけでなく、人類の安全、健康、福利を含む様々な「価値」に対する「判断」を下しながら技術を提供する事を求められている。我々が人類を含む自然構成員の利益のために、自然の力を経済的に活用する知的専門職(Profession)足らんとするためには如何にあるべきか。
・ねらい
技術者として、適切な情報と理性的な塾考を基にして、他から独立・独自に倫理的判断を下す能力、自律、を確立し、その決断に基づいた行動がとれる能力を育む。
・目標
技術者として環境・資源・食糧・エネルギーなどについての課題認識
培われてきた技術者が規範とすべき技術者倫理綱領の理解
機械技術者として、製造し製品を世に送出すときの責任と原則
社会が経験した技術のあり方を問う Challenger事故、Ford社 Pint車、等の事例研究
技術者倫理を高める具体的方法の習得
自らの倫理感を高めるための先駆者についての理解
・キーワード
人間としての自覚、技術者としての誇り、公衆の安全、専門家としての能力、技術者倫理

【授業計画】
・授業の方法
1週 講義と自由記述テスト
2週 テキストの輪読と講義
3週 ビデオを見てのgroup method、班毎の発表、記述テスト
4週 講義と記述テスト
5週 講義と記述テスト
6週 講義
7週 テスト
・日程
1週 Engineering(工学)とは何か
a. ゴミ焼却場について自由記述テスト 400字詰用紙1枚
b. Engineerとしての知的専門職(Profession)業
c. 今、何故技術者倫理
d. 環境倫理学の三つの主張 地球の有限性、世代間倫理、生物保護
2週 技術者倫理を高める具体的方法 Challenger事故、Ford社 Pint車、等を参考に
 a. 道徳的な想像力の刺激
b. どのようなことが倫理的な問題であるのか
c. 道徳的な問題を分析する能力の高揚
3週 Case Stuies Approach: group methodによるビデオ「Gilvane Gold」の考察
  ビデオ 30分、各自の解答提出 20分、group method  15分、班毎発表 20分
4週 日本機械学会技術者倫理網領と技術者倫理を高める具体的方法その2
 a.「公衆の安全、健康、福利」、「雇用主・依頼主への忠実さ」、「守秘義務」、「予見義務」、 「内部告発」等
 b. Michel DavisのSeven Step Guide
  1.State problem. 2. Check facts.
  3.Identify relevant options. 4.Develop list of options.
  5.Test options. 危害、世間体、自己防衛可能性、可逆、同僚による評価、専門家集団による評価、所属組織による評価
  6.1から5の検討結果を基に、取るべき行為を決定せよ。
  7.1から5のステップを再検討せよ。
 c. Givane Goldの再考察と記述テスト
5週 倫理的意思決定を妨げる要因 
 a.「life boatでの救出作戦」考察
  私利私欲 (self-interest) 恐れ (fear)
  自己欺瞞 (self- deception) 無知 (ignorance)
  自己中心的志向 (egocentric tendencies)
 b.倫理のを求道者たち
  1人間としての自覚 自己探求と倫理的自覚、人間の思索の源流
  2現代社会を生きる倫理 近代思想の形成
6週 技術者倫理を持たない者はエンジニアにあらず
 a. PL法
 b. 技術者倫理教育の目的は、適切な情報と理性的な塾考を基にして、他から強制されない状態で独自に判断を下し、その決断に基づいた行動がとれる能力、つまり道徳的自立性の育成にある。
7週 期末テスト

【学習の方法】
・受講のあり方
 倫理や哲学の書を並行して読んでみると良い。時事にも目を配ること。
・予習のあり方
 1週に向けて. (この時までテキストを購入しておく)
 2週に向けて. テキストP.34〜チャレンジャー号事件
   テキストP.46〜フォード・ピント事件
3週に向けて. テキストP.104〜ギルベイン・ゴールド
4週に向けて. テキストP.174〜倫理綱領について知るべきこと
        テキストP.224〜日本機械学会倫理規定
 5週に向けて. テキストP.188〜倫理概念について知るべきこと
 6週に向けて. テキストP.68〜求められる安全水準
        テキストP.160〜製造物責任法について知るべきこと
        テキストP.216〜製造物責任法
・復習のあり方


【成績評価の方法】
・成績評価基準
第3・4週における記述テスト30点、第7週のテスト70点の合計で、60点以上を合格とする。
・方法
記述テストは授業中に行い、その時間内で提出する。

【テキスト】
はじめての工学倫理、斎藤了文、坂下浩司著、昭和堂、¥1400+税

【参考書】
稚拙、ノート社会における技術史と倫理、生協印刷、¥1500 の予定(これは「機械技術史」のテキストとなる)

【科目の位置付け】
機械システム工学科の学習教育目標(M)「技術者倫理観」を養成する科目である。

【その他】
・オフィス・アワー
金曜日の16時以降、7−107号室
・担当教員の専門分野
環境エネルギー工学、技術史

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