【授業概要】
・テーマ
「環境とは何か? 環境構造と機能」
・ねらい
生活する主体に何らかの影響をもたらす外囲条件の総合的効果を環境とよぶ。自然界の諸現象と人類がもたらした諸現象の総合的連関が主体の生命と生活に関わるときに、環境ははじめて認識される。
人類を含む多様な生物の生存と繁栄は外囲条件だけでなく、ほかの生物との相互関係を軸にして成り立つ。このような機能系を生物圏という。それは生命の起源に端を発して、絶え間なく変化する時間的経過と地球上に広がる空間的展開の二面性をもつ「諸現象の連関と運動」の系である。「気圏」、「水圏」、「地圏」といった物理的な包括とは違って、生きる者の「生活と生存」を中心に据えてはじめて認識される。従って、環境や生物圏の諸問題は、物理学、化学、生物学、地学などといった自然科学の古典的な個別的方法論だけでは真の「環境の認識」には繋がらない。生活するものが評価してはじめて認識する主体的環境論の主張である。
・目標
生活実感として「環境」を認識することを目標とする。
【授業計画】
・授業の方法
授業は講義と体験学習によって構成する。環境の概念は「生活者の実体験」を通して修得されるものであるから、実習は単なる講義の補完ではなく、授業の重要な構成要素である。実習は生活地域の環境への関心を啓発するため、とくに現実の生活環境と自然との乖離について、山形県立自然博物園(山形県西川町志津)を中心とした地域で検証を試みる予定である。 ・日程
講義項目(順次)
1.環境とは何か
2.生物圏の概念
3.自然環境とは何か
4.生物多様性の保全
5.ヒトとはいかなる生物か
6.人類の自然環境と景観,地域文化
7.地球規模の環境問題
8.国家戦略,環境行政
9.体験学習
【学習の方法】
・受講のあり方
受講に際して、安易な対応は禁物である。難解な概念や聞き慣れない用語が多い。テキスト、資料、参考書などを熟読して理解を深めることが大事である。それを怠って勉学意欲を喪失するものが多い。自学実習には予備知識をもって臨むことが肝要である。 ・予習のあり方
・復習のあり方
【成績評価の方法】
・成績評価基準
「環境」に関わる諸問題について論理的な認識を尺度とする。 ・方法
出席とレポートをもって評価する。実体験と論理的な環境認識を記述できるレポートは重視する。
【テキスト】
斎藤員郎,生物圏の科学(共立出版,1992)
【参考書】
左巻健男・市川智史共編,環境マニュアル(東京書籍,1999)
その他適宜紹介する。
【その他】
・履修に当たっての留意点
「環境」はひとえに「人(心・論理)」の問題であることに留意して高い意識をもって受講してください。 ・担当教員の専門分野
自然環境論,植生生態学,景観生態学
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