平成17年度山形大学理学部 「トワイライト講座」 サ イ エ ン ス セ ミ ナ ー の 講 義 概 要 等
 開講月日 
 講 義 テ ーマ 及 び 概 要  
 担当教員 
 4月15日   (金)   化学反応はエネルギー
 エネルギーには熱エネルギー,電気エネルギー,光エネルギーなど様々な形態があります。化学反応は,それらのエネルギーと密接な関係があります。この講座では,エネルギーを生み出す化学反応,エネルギー変換と化学反応について,演示実験などを交えながら紹介します。 
 鵜 浦   啓(物質生命化学科) 
 4月22日   (金)   もう一つの核酸:RNA
   遺伝子核酸であるDNAについては知らない人はいないであろう。核酸にはDNAとは異なるRNAという別種の核酸がある。最近,このRNAが今まで知られていない重要な働きをもつことが明らかにされつつある。このもう一つの核酸RNAにスポットを当てて,RNAの新しい機能について概説する。 
 長谷川 典 巳(物質生命化学科) 
 5月 6日   (金)   ナノサイズの世界
 ナノメートルとは10億分の1メートルを指し,ナノテクノロジーとは,ナノメートルサイズの材料(ナノ材料)を作製したり・取り扱ったりする技術を言います。ナノ材料は,新しい機能・性質をもっており大きな可能性を秘めた材料です。ナノサイズの世界を簡単に紹介します。 
 栗 原 正 人(物質生命化学科) 
 5月13日   (金)   細胞の生物学1 −真核細胞の起源−
 化石の証拠によれば,人間を含めた多くの生物を構成している真核細胞は約15億年前に出現した。それまでは核もミトコンドリアもない原核細胞でできたバクテリアの世界であった。細胞内共生という進化の重要な出来事が真核細胞の起源に関与していた。 
 原   慶 明(生 物 学科) 
 5月20日   (金)   細胞の生物学2 −精子と卵のコミュニケーション−
 精子と卵は受精のために分化した生殖細胞であり,受精は精子が卵を目指して運動することに始まります。本講義では,受精のために精子が有する特徴を理解するとともに,動物の受精時に起こる精子と卵のコミュニケーションについて解説します。 
 森 澤 正 昭(生 物 学科) 
 5月27日   (金)   細胞の生物学3 −タンパク質の合成と動物の発生−
 私達のからだを構成する細胞は約2万種類のタンパク質の設計図を持っています。本講義では,タンパク質の合成を解説するとともに,その制御によって進む動物個体発生のシステムについて,その概略を理解します。 
 渡 邉 明 彦(生 物 学科) 
 6月10日   (金)   地球に探る過去のできごと? −地震の爪痕−
 2004年新潟県中越地震から大昔まで地震によって地表面や地下にどんな爪跡を残しているのでしょうか。地震活動によって生じた断層などの割れ目,あるいは地震に伴って発生した液状化現象によって生じた噴砂・砂脈・永久変位などについてやさしく解説します。 
 陶 野 郁 雄(地球環境学科) 
 6月17日   (金)   地球に探る過去のできごと? −「ちきゅう」発進−
 地球深部探査船「ちきゅう」が2005年の春に完成し,日本主導の深海掘削調査がスタートします。海底に眠る地球の歴史や新資源を調査するほか,海底下7000mの人類未踏のマントル物質の採取に期待がよせられています。 
 丸 山 俊 明(地球環境学科) 
 6月24日   (金)   地球に探る過去のできごと? −地球外物質の落下−
 46億年前に地球が出来てから現在まで,隕石や宇宙塵などの地球外物質が地球に落下し続けています。この回では落下してくる地球外物質の特徴や,落下が地球に与える影響などについて解説します。 
 岩 田 尚 能(地球環境学科) 
 7月 1日   (金)   数理科学の世界1 −曲線の話−
 平面内の曲線の曲がり方を表す量として曲率の概念を導入して,具体例やその意味について解説する。 
 上 野 慶 介(数理科学科) 
 7月 8日   (金)   数理科学の世界2 −理論数学から数値数学へ−
 4次以下の代数方程式の根は公式で求められる。しかし,5次以上の代数方程式は,一般に,代数的に解けないので,数値的に解かなければならない。n次代数方程式を含む非線形方程式の解の数値解法を解説する。 
 方     青(数理科学科) 
 7月15日   (金)   数理科学の世界3 −商と余り−
 
整数や多項式の世界では,ある元で割った時の商と余りが考えられる。この余りに着目することにより,+−×が定義された有限個の元からなる集合や,+−×÷が定義された有限個の元からなる集合が構成できることを解説する。これらは,インターネットで通信を行う際の安全性を保障する暗号理論等で広く利用されている。 
 村 林 直 樹(数理科学科) 
 7月22日   (金)   宇宙線と太陽活動
 宇宙空間から地球に降り注ぐ宇宙線とはどんなものか説明したのち,宇宙線が太陽活動によって強度変動することを利用して過去の太陽地球環境を探索する方法と現在得られている最新結果について話す。 
 櫻 井 敬 久(物 理 学科) 
 7月29日   (金)   宇宙はほんとうに膨脹しているか?
 人類が宇宙膨脹になぜ気づいたか?を実際に追体験し参加者全員が宇宙膨脹を確信できることを目標とします。 
 柴 田 晋 平(物 理 学科) 
 8月 5日   (金)   電気伝導現象
 電気伝導性を示す物質には,通常の金属や半導体以外に,特異な伝導現象を示す多くの物質が知られている。超伝導体もその一つである。これらの物質の伝導現象について,実験を行いながら,わかりやすく講義する。 
 佐々木   実(物 理 学科) 
 10月 7日   (金)   植物と光I
 −分布と戦略− 植物は様々なかたちで光を利用して分布し,生活しています。この講義では,日向に分布する植物と日陰に分布する植物の戦略の違いについて話します。植物ですから光はあった方が良いはずなのに,日陰植物はなぜ日陰を選んだのでしょうか。彼らが豊富な光を捨てて得たものは何なのか,また,光不足に対してどのような対策を講じたのかを説明しようと思います。 
 辻 村 東 國(生 物 学科) 
 10月14日   (金)   植物と光II −発芽と情報変換−
 種子は光を利用して発芽します。種子は外界からの光の情報をどのようにキャッチし,その情報を種子内でどのように変換して,発芽に結びつけるのでしょうか。植物の「目」としての光受容体と,情報の伝達因子としての植物ホルモンを中心にお話します。 
 丹 野 憲 昭(生 物 学科) 
 10月21日   (金)   植物と光III −細胞の応答−
 光に対する植物の応答は器官や個体の反応としてみることができますが,この講義では植物の形づくりや光合成に影響する,光に対する細胞レベルの応答について紹介するとともに,それらの応答を引き起こすしくみについて概説します。 
 菱 沼   佑(生 物 学科) 
 10月28日   (金)   岩石・鉱物の世界I −温泉と鉱物資源−
 地球を構成する岩石,水,大気はそれぞれが相互に関係しながら循環しており,この循環の中で資源が生まれます。授業ではこの仕組みについて説明するとともに,現在の海洋底で金属資源が生まれている海底温泉について,ビデオとともに紹介します。 
 中 島 和 夫(地球環境学科) 
 11月 4日   (金)   岩石・鉱物の世界II −火山−
 火山噴火は我々に地球内部の熱エネルギーのすさまじさを最も身近に実感させる現象です。世界中の火山の約10%が日本にあり有数の火山国でもあります。この回は噴火現象や火山のでき方について解説します。 
 伴   雅 雄(地球環境学科) 
 11月11日   (金)   岩石・鉱物の世界III −地殻を作る岩石・鉱物−
 私たちの生活と最も関連の深い地球の表層部,すなわち地殻を構成する物質について,その種類・分布やそのでき方,また地震をもたらす断層運動との関連性などについて分かりやすく解説します。 
 田 中 久 雄(地球環境学科) 
 11月18日   (金)   数学の面白さ1 −4次元空間の中の図形たち(正多胞体)−
 正多面体は5種類ある:正四面体,立方体,正八面体,正十二面体,正二十面体。4次元空間の中には6種類の「正多胞体」がある。なぜ6種類なのか?どのような形をしているのか?厚紙模型とCGで正多胞体に迫る。 
 井 伊 清 隆(数理科学科) 
 11月25日   (金)   数学の面白さ2 −無限の彼方に何がある−
 「無限とは何か」これは,長い間,哲学者と数学者を悩ませた問題であった。19世紀後半,ドイツの小さな大学の数学者が無限の問題を解決し,当時の数学界に大きな衝撃を与えた。この「神秘なる無限の世界」を紹介しよう。 
 河 村 新 蔵(数理科学科) 
 12月 2日   (金)   数学の面白さ3 −科学技術計算の中の数学−
 科学技術計算の分野では,大規模な連立一次方程式を解くことが要求される。コンピュータが発達したとはいえ,より多くの未知数を含んだ方程式を解くには,数学による数値解法の開発が必要である。直接法と反復法について解説する。 
 方     青(数理科学科) 
 12月 9日   (金)   地球周辺空間のプラズマ現象
 地球は対流圏,成層圏,電離圏,磁気圏に包まれており,その外側に広大な惑星間空間が広がっている。本講では,太陽プラズマ流と地球磁気圏との相互作用現象,特にオーロラ現象を中心に解説する。 
 渋 谷 仙 吉(物 理 学科) 
 12月16日   (金)   量子のもつれを巡って
 量子現象では不確定性関係のみ注目され,相関の重要性は見すごされる。量子論には古典論では理解できない強い相関があり,素朴な“常識”を裏切る。“量子のもつれ”という具体例を紹介し,古典論的な直観の有効な境界を示したい。 
 ? 橋 良 雄(物 理 学科) 
 1月13日   (金)   物質と反物質
 真空(無)から物質を作り出すと,同時にその反物質も作り出されます。ビッグバンによって宇宙は誕生しましたが,私たちの世界には反物質なんてほとんど存在しません。宇宙の歴史の中で,それはどこに行ってしまったのでしょう? 
 吉 田 浩 司(物 理 学科) 
 1月20日   (金)   私たちは水を飲む
 水は私たちと様々に係り合っている。その中で,水と命の係わり合いを概観する。 
佐 藤 泰 哲 (物質生命化学科) 
 1月27日   (金)   水の中の環境 −環境を考える−
 水中に生育する生物の環境についての話題提供です。生物を取りまく水環境と生物の関係や役割,また,それらの変化と生物の対応などを中心に話をします。また,化学的,生物的な話題から環境学まで幅広く説明する予定です。 
 日 野 修 次(物質生命化学科) 
 2月 3日   (金)   錯体の魅力 ─材料から生命まで─
 金属錯体とは,金属イオンが中心にあって,その周りをいろいろな原子や分子が囲んで結合しているものを言う。そのような錯体が,材料から生命・医薬に至る様々な分野で,いかに多種多様な関わりを持っているのか紹介し,錯体の魅力を知ってもらう。 
 坂 本 政 臣(物質生命化学科)