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世界初、高い安全性を示す次世代電池「半固体電池」の実用化 ~山形大学森下准教授、(株)大阪ソーダ、(株)BIHとの共同開発~

掲載日:2021.12.02

本件のポイント

  • 山形大学森下正典産学連携准教授、株式会社大阪ソーダと株式会社 BIHとは、高い安全性を示す次世代電池「半固体電池」の開発に成功した。
  • 本技術の半固体電池はウエアラブル機器の電源として世界で初めて実用化する。一例として、地域に根ざす繊維産業である米沢織と組み合わせ、機能性とデザイン性を兼ね備えた補助電源付きスマートフォンケースを商品化する(右図)。
  • 半固体電池はアライアンスを組んでいる国内外の電池メーカーで量産試作に取り組んでおり、2022年度中の商品販売を見込んでいる。

概要

 山形大学森下正典産学連携准教授、株式会社大阪ソーダ(代表取締役社長執行役員:寺田健志、大阪府大阪市)と株式会社BIH(代表取締役:長谷川貴一、山形県米沢市)とは、従来のリチウムイオン電池より高い安全性を示す半固体電池を開発し、世界で初めて実用化する。本技術の半固体電池は米沢織と組み合わせた補助電源付きスマートフォンケースへ採用し、機能性とデザイン性を兼ね備えた地域独自の新商品として商品化する。半固体電池の基幹技術である電解液のゲル化剤は株式会社大阪ソーダが量産技術の開発に成功しており、国内外の電池メーカーで2022年度中の商品販売を見込み、量産試作に取り組んでいる。

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背景

 リチウムイオン電池はスマートフォンなどの電源として用いられているが、発火事故が相次いでおり、安全性の向上が求められている。従来のリチウムイオン電池は液体の電解液を使用しているため発火や液漏れなど安全性に課題があった。この課題を解決するためにゲル状の電解液を用いた「半固体電池」を開発した。電解液をゲル状(半固体化)にするメリットは、電池が燃えにくくなることや電解液が漏れにくくなるなど安全性の向上があげられる。図1には本技術の半固体電池と従来のリチウムイオン電池の特徴を示す。

本技術のゲル状電解液(半固体化) の画像
本技術のゲル状電解液(半固体化) 

従来の電池に使用されている電解液の画像
従来の電池に使用されている電解液

  本技術の半固体電池  従来のリチウムイオン電池
電解液 ゲル状(半固体化) 引火性の液体
安全性 液漏れなし、電池の発火なし 液漏れや電池が発火する可能性あり

本技術の半固体電池と従来のリチウムイオン電池の特徴

共同開発の成果

 山形大学森下正典産学連携准教授、株式会社大阪ソーダと株式会社 BIHとは、従来のリチウムイオン電池と比較して高い安全性を示す半固体電池の開発に成功した。半固体電池は従来のリチウムイオン電池や固体電解質を使用する全固体電池とは異なり、ゲル状の電解液を使用する点が特徴である。電解液をゲル化することで、電池が燃えにくくなるなど安全性が向上する。図2に示す電池の釘刺し試験において、従来の電池に釘を刺すと電池が膨らみ発火・発煙したが、本技術の半固体電池は釘を刺しても発火・発煙などは起こらず、高い安全性を示した。

従来のリチウムイオン電池の画像
従来のリチウムイオン電池

本技術の半固体化電池の画像
本技術の半固体化電池

図2 本技術の半固体電池と従来のリチウムイオン電池の釘刺し試験

半個体電池の実用化

 本技術の半固体電池はウエアラブル機器などの電源として実用化を見込んでおり、第一歩として米沢織と組み合わせた補助電源付きスマートフォンケースへ採用し、機能性とデザイン性を兼ね備えた地域独自の新商品として世界で初めて商品化する。半固体電池の基幹技術である電解液のゲル化剤は株式会社大阪ソーダが量産技術の開発に成功しており、アライアンスを組んでいる国内外の電池メーカーで2022年度中の商品販売を見込み、現在量産試作に取り組んでいる。

今後の展望

 従来のリチウムイオン電池や全固体電池ではない、新しい次世代電池領域として半固体電池を山形から世界へ向けて発信し、電池の安全性向上に貢献する。また安全性が重要視される車載用電池に対して半固体電池の効果を検討し、半固体電池の大型化も進めていく。

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