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平成29年度新入生に対する告示

 新入生のみなさん、入学おめでとうございます。山形大学を代表しまして、みなさんを心から歓迎いたします。
 また、ご列席のご家族のみなさん、本日のこの良き日を迎えられましたこと、誠におめでとうございます。ご家族のみなさんには、新入生の大人としての判断と行動を温かく見守っていただければと思います。 

  さて、これからみなさんが学ぶ山形大学について紹介します。本学の起源は、明治11年の山形県師範学校の創立までさかのぼります。今日では、6学部、7研究科からなる東日本有数の総合大学です。卒業生は10万人を超え、多くの先輩方が国内外で活躍しています。小白川、飯田、米沢、鶴岡の4つのキャンパスと、山形県全域を学びのステージとして、約9000名の学生が学んでいます。大学の使命、すなわちミッションとして「地域創生」、「次世代形成」、「多文化共生」の3つを掲げ、それを基盤として、学問に励み、自分自身を磨く人々が集う場所です。

 このような山形大学で、みなさんの学びが始まります。本日は、学長として、学びについての3つのこと「学びの理由」、「学べる幸せ」、「学びとは何か」について話します。 

  まずは、「学びの理由」、なぜ学ぶのか。みなさん1人ひとりにとって、大学での学びの動機、理由は一様ではないでしょう。目的を持って入学したひと、何となく入学したひと、大学で目的を探そうとしているひとなど、さまざまだろうと思います。 
 私自身、今から49年前に、今日のみなさんと同じように、この山形大学に入学しました。工学部の繊維工学科への入学でしたが、当時の私は、コンプレックスを抱えていました。なぜなら、それは私のやりたい分野ではなく、第4志望の学科だったからです。入学後もしばらくは、コンプレックスをもって授業に出ていましたが、あるとき、クラスの親睦会で、友人の1人が「私は第4志望でこの学科に入りました」と話してくれました。そうすると、次々に友人たちは「私も第4志望だ」と言い出し、最終的にはクラスの全員が第4志望だと分かったのです。私のコンプレックスは一気に解消し、心の重しがなくなりました。その時から、学生生活を謳歌し始めたように記憶しています。その後の人生は、友達や先生との出会いなどもあり、今では学長になったわけです。自分でも予想もしない人生になりました。

 ところで、学びの理由を考える上で、一つアドバイスしたいことがあります。
 まず、頭の中で、みなさんが社会の中核を担う40歳になる頃、これから20年後のことをイメージしてみてください。今の社会に存在する多くの職業は、そのとき存在しているかどうか分かりません。
 21世紀に入り、社会は急激かつ大きな変化が続いています。人口減少や高齢化などの社会問題、AIやIOTなどの技術革新が複雑に絡み合っています。みなさんが生まれた20年ほど前には、スマホはありませんでした。そして、20年後には、スマホは、多分無くなっているでしょう。
 それ故に、これまでのように、人生を1つの職業のみで生きることは珍しくなるでしょう。みなさんは新しい職業を創っていかなければならない世代になります。単に1つの職業に必要な知識を身に付けるだけでは、今を生きる若者らしくありません。大学では、新しい職業を創り出すための学びや、複数の職業に就くための根幹となる学びを修得していただきたいのです。そして、長い人生をたくましく生きるための人間力を、山形大学で身につけてください。

 2つ目は、「学べる幸せ」について、考えてみましょう。今、みなさんがここにいるのは、色々な支えがあってのことです。小中高の先生、家族、友人などです。そして、山形大学を創設した先人たちもそうです。
 山形大学のキャンパスは、どのキャンパスも地域に密着した形で設置されています。
 米沢キャンパスの例を紹介しますと、明治40年ころ、今から約110年前に、米沢で国立の高等工業学校の誘致活動が行われました。設置に必要な経費の約1/3が、山形県、置賜地域の市町村、そして個人の方々からの寄付で準備されたそうです。そして、国に申請された結果、日本で7番目の高等工業学校として認められたのです。言い換えると、地元の方々に多額の資金をご支援いただいたおかげで、今の山形大学米沢キャンパスがあるのです。
 また、米沢キャンパスの敷地は、もとは江戸時代から武士が住む住宅地でした。明治40年ころ、そこに住んでいた人々は、自分たちで議論し、国の学校を誘致するためにと、土地をまとめて市に差し出しました。そして、彼らは市内の別の場所に、それぞれ引っ越して行ったのです。当時の人々のすばらしい「志(こころざし)」と、自己犠牲の精神がなければ、今の米沢のキャンパスはありませんでした。
 米沢キャンパスについてお話ししましたが、4つのキャンパスいずれにも、同様のストーリーがあります。新入生のみなさんは、地元の人の献身的なご尽力により創立されたキャンパスで、学生生活を送るということを、意識していただきたいと思います。
 そして、皆さんがこれから学ぶ知識は、先人がいろいろなことに疑問を持ち、一つずつ解決し、真理となり、知識として、代々、我々に引き継がれてきているものです。長い年月、多くの努力のもとに、新たな学びが成りたっています。
 このように、みなさんは、時代を越えた、多くの人の想いの上に、学ぶことができています。これが「学べる幸せ」です。 

 3つ目は、大学での「学びとは何か」です。みなさんは、今日から大学生です。「生徒」から「学生」になりました。一人の「ひと」としてのスタートです。教えてもらう「勉強」から、自ら学ぶ「学習」へと、学びの姿が変わります。先生方とも、対等であるという意識をもって、授業に出て下さい。
 みなさんが大学で最初にやることは、履修する科目を自分で選び、自分だけの時間割を自分で作ることです。もちろんシラバスやガイダンスを参考にします。授業を受ける前には、シラバスを読みこんで、授業の内容について、自分の疑問を確認し、疑問に対する答えを自分で作り、その意味するところを考えてみて下さい。その上で、授業に出ると、先生の話と自分の考えとの比較ができます。この比較が学びにおける第1段階です。自分と同じ考えを先生が話されたら、それは成功です。素直に喜んで下さい。
 先生の話が自分の考えと異なったら、学びの第2段階です。その違いについて考えてみましょう。その上で、先生の話の根底にあることは何かを考えます。このように、学びのレベルをつぎつぎと掘り下げることによって、深くて、良い学びになります。
 同じ知識を得るにしても、その知識自体についての疑問、知識のできた背景、知識によってできる広がりなど、これらにまつわる多くの考えを、深く、広くすることが重要です。そして、その知識を実際に使ってみることによって、みなさんの実力が上がり、人間力の形成につながります。
 大学での学びを通して、知識について深く考える習慣を、身に付けて下さい。

 さあ、今日から、山形大学生として、みなさんの生活がスタートします。どのような物語を描くかは、みなさんの「志(こころざし)」次第です。山形大学で、何を学び、何を感じ、誰と出会うかによって、みなさんの人生は大きく変わっていきます。どうか、みなさんの目線を、前へ、外へ、上へ、向けて下さい。

 結びに、みなさんの山形大学での学生生活が、真に豊かで、充実したものとなることを心から祈念しまして、私の歓迎の言葉といたします。

平成29年4月4日 山形大学長 小山清人