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矢口友理

高まる食環境への関心を受け、
地域の食育やスポーツに貢献。

2018.06.15

矢口友理先生

管理栄養士として働いていた経験もあり、長年にわたって陸上競技ジュニアチームの栄養指導も行っている矢口友理助教。専門は、栄養疫学とスポーツ栄養学。生活習慣や食習慣と疾病発症の関係、スポーツ選手の栄養マネジメント等についての研究に取り組んでいる。食育、共食など、食環境への関心が高まるなか、学生の指導はもとより、ジュニアスポーツ選手の保護者や学校栄養士等を対象に講演を行う機会も増えている。

学生時代に食の重要性を痛感
栄養研究の道へのきっかけに

 自身も小学校・高校時代は体操競技に打ち込んでいたという矢口先生。ハードな練習の上に厳しい体重管理、その頃の経験が栄養に関する研究に関心を持つきっかけのひとつになった。食生活や栄養が人々の健康や疾病、子どもの成長、体力の向上などにどのように関わっていくのかを追求している。栄養疫学分野では、地域住民あるいは学校など、集団に対してアンケート調査を実施し、食生活と病気の関連を調べるという手法をとっている。

食生活と生活習慣に関するアンケート調査
栄養疫学分野では、地域住民や学校など、集団における食生活と病気の関連を調べるためにアンケート調査を実施。健康的な食生活のための栄養指導も正しい現状把握から。

 山形に移り住んで十数年、当初からずっと陸上競技のスポーツ少年団の子どもたちやその保護者、指導者を対象に食事とスポーツの関係についての講演などを行っている。また、サッカーやスキーのスポーツ少年団、中学校や高校などから依頼を受けて同じような講演を行う機会も多い。どんな食事をどのタイミングで摂るべきか。食事の内容はもちろん、いつ食べるかもとても大事。「運動後1時間以内に筋肉が必要とするたんぱく質をはじめ、炭水化物などを摂ることが望ましい」とアドバイス。さらに、献立作成のポイントやケガをしないための食事、間食は何がいいのかなど、科学的根拠に基づいた正しい栄養情報の発信に努めている。

父親の家事参加状況と朝食・夕食を家族そろって食べる頻度

父親の家事参加状況と朝食・夕食を家族そろって食べる頻度
父親が家事に参加している家庭とそうでない家庭とで、家族で一緒にごはんを食べる頻度を比較。平成25年度男女共同参画推進県民企画事業の助成を受けて実施した調査データ。

スポーツ栄養士の資格取得へ
夢はオリンピック選手の育成

 かつて管理栄養士として給食会社に勤務していた際に、全日本レベルのソフトボールチームの食事調査を担当した矢口先生。より精度の高い食事調査を行うためには知識不足を感じ、山形大学に教員として着任後に、本学大学院医学系研究科で医科学の博士号を取得している。さらに上を目指す意欲は変わることなく、現在は山形県内にまだ2名しかいない「スポーツ栄養士」になるための準備を進めている。管理栄養士であること、スポーツ指導経験があること、日本栄養士会と日本体育協会の推薦が受けられることなど、厳しい条件もクリアできそうだ。
 部活などで本格的にスポーツを始める時期にあたる中学校に栄養教諭の配置が少ないため、スポーツ栄養にまではなかなか手が回らないのが現状。そこをカバーするためにも、スポーツ栄養士となってより強力に学校の先生方や保護者に栄養指導を行っていきたいと考えている。これまでも矢口先生は、スポーツをがんばる子どものためのお弁当メニューの提案や駅伝チームの貧血対策など、さまざまなスポーツシーンを栄養面からサポートしてきた。

スポーツをがんばる子どものためのお弁当メニューの提案

スポーツをがんばる子どものためのお弁当メニューの提案
2013年に、くらしと農林水産業を協同で守る県民運動事務局から発行された冊子の特集ページでは、矢口先生がスポーツをがんばる子どもたちのために食に関するさまざまなアドバイスをしている。

小・中学生時代に栄養指導をした子どもがインターハイで入賞したことをニュースで知り、嬉しい気持ちになったという。今後は、スポーツ分野の先生方とも連携し、国体やインターハイでの成績向上につなげて地域に貢献したいとも考えている。そして将来、栄養指導を行った子どもたちの中からオリンピック選手が出てくれればと夢は膨らむ。

知識と実践力を備えた人材を
地域へ、社会へ送り出すために

 2017年度、矢口先生の研究室には4年生3名、3年生3名のゼミ生が在籍している。矢口先生が学校等から依頼を受けて栄養指導を行う際には、対象者の体格を知る必要があるため、身体測定を実施する場合がある。そんな時は、学生たちも同行し、測定を手伝いながら現場で実践的に学ぶいい機会を得ている。

スポーツ栄養の出張講義

スポーツ栄養の出張講義
県内の高校でスポーツ栄養の講義を行う矢口先生。 この時は、引退した3年生も受講していたため、現役選手から引退後も含めた栄養や食習慣に関する内容でレクチャーを行った。

また、あるケースでは、対象者から提出してもらった3日間の食事記録を分析し、2人一組のチームで20名分ずつの栄養計算を行ったこともある。矢口先生の講義と実践的な研究のサポートを通して、学生たちは自らの興味・関心に気づき、卒論テーマを決めていく。卒業を間近に控えた4年生たちの卒論テーマは、「健康増進施設利用者の運動習慣と食習慣および健康関連QOLとの関連」、「幼児における摂食速度と体格および生活習慣との関連」など。しっかりと矢口先生の背中を追っている。
 スポーツ選手の体づくりやコンディションの維持だけではなく、子どもたちの健全な成長、そして、すべての人々の健康維持にも深く関わっている食事と栄養。今後ますます期待される研究分野と言えそうだ。

やぐちゆり

やぐちゆり
●助教/専門は栄養疫学、スポーツ栄養学。2000年筑波大学大学院体育研究科修了。2007年より現職。2008年山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻修了。博士(医科学)、管理栄養士。

※内容や所属等は2018年当時のものです。


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