わたしたちは,音や音楽によって感情を揺さぶられる。激しいリズムに心が沸き立つ時もあれば,風や虫の音に心が和むこともある。また,音や音楽によって,自分の気持ちや心の動きを表現したり相手の気持ちや思いを理解したりする。さらに,音や音楽は,自分や相手の心の動きを感じたり,つないだりするものであると考える。
子どもが音楽科を通して自ら学びをもとめ続けるということは,音や音楽を通して自分の心を見つめたり,相手と心を通じ合わせたりすることであると考える。そこで,音楽科では目指す子どもの姿を次のように考えている。
| 音楽の世界を広げ,生活を潤いのあるものにしていく子ども |
2 音楽科を通して豊かな自己形成に向かっていることを実感するとは
子どもが,音楽の世界を広げ,生活を潤いのあるものにしていくためには,次のようなことに対して豊かになってきている自己を実感することが必要であると考える。
(1) 音や音楽でより豊かに感じたり考えたりすること
音や音楽でより豊かに感じたり考えたりすることとは,音や音楽で感情が揺さぶられたり,音や音楽への自分なりの見方をもったりすることである。子どもは美しい旋律に心を惹かれたとき,思わず口ずさんだり,打楽器のリズムに自然に体を動かしたくなったりする。また,曲想をイメージしたり,曲にこめられた作曲者の思いについて考えたりする。感情が揺さぶられたり,自分なりの見方をもったりすることで,子どもは自分の心の動きを自覚し,自分を含めた対象への認識が深まることにもつながると考える。
(2) 音や音楽で自己を豊かに表現すること
音や音楽で自己を豊かに表現することとは,自分の感情や思い・考えなどを,音や音楽で表現していくことである。感じたことや考えたことを,旋律やリズム,音色などの音楽的要素にこだわって音や音楽で表現していくことは,自分の内面を深く見つめることになる。そして,さらに自分らしさを確かなものにしていくものと考える。
(3) 音や音楽で他者とより深くかかわり合うこと
音や音楽で他者とより深くかかわり合うこととは,音や音楽を通して,お互いの心の動きを感じたり気持ちを理解し合ったりして,よりよいかかわりをつくっていくことである。音や音楽を聴いて感じたことや考えたことを交流し合ったり,一緒に演奏したりすることは,お互いの思いを感じたり違いを認め合ったりすることにつながる。そして,それらを通して,お互いの感情がより豊かになっていくものと考える。