わたしたちは,科学的なアプローチによって,自分自身の生きている世界を広げている。そこでは,自然の事物・事象に対する認識や思考が深まるだけでなく,自然の事物・事象に対して愛着をもったり,現代社会を支える科学の背景がみえてきたりしている。そしてそれは,人・自然・社会と自分とのかかわりを見つめていくことになり,よりよいくらしをもとめていくことにつながっていくと考える。わたしたちのいう科学的なアプローチとは,目には見えない自然の事物・事象の因果の関係を推測するための手続きであり,こうした自己形成を支えるものである。
そこで,子どもが理科を通して自ら学びをもとめ続けることは,科学的アプローチからよりよいくらしもとめていくことと考え,目指す子どもの姿を次のように設定した。
| 科学的なアプローチからよりよいくらしをもとめていく子ども |
2 理科を通して豊かな自己形成に向かっていることを実感するとは
子どもが,科学的なアプローチからよりよいくらしをもとめていくためには,次のようなことに対して豊かになってきている自己を実感することが必要であると考える。
(1) 科学的なアプローチから自分をより深く見つめていくこと
科学的なアプローチから自分をより深く見つめていくこととは,科学的なアプローチから自分と自然の中にある対象や科学とのつながりを見いだすことである。そうすることによって,人・自然・社会とのかかわりの中での自分を見つめていくことにもなり,より自分らしさを確かなものにしていくことができると考える。
(2) 科学的なアプローチから他者とより深くかかわり合うこと
科学的なアプローチから他者とより深くかかわり合うこととは,他者と自然の事物・事象を介してかかわっていく中で,他者の感じ方や考え方などから自分の自然の事物・事象に対する感覚や見方や考え方などを広げたり,深めたりしていくことである。また,他者と妥当性のある結論を導きだすことで,他者と自然の事物・事象への見方や考え方を共有していくことにもなると考える。こうした他者とのかかわりは,自分の自然の事物・事象を見つめる目を深めていくだけではなく,他者と生活をつくっていく基盤にもなると考える。
(3) 科学的なアプローチから事物・事象に対する考えを深めていくこと
科学的なアプローチから事物・事象に対する考えを深めていくこととは,自分がもっている自然の事物・事象への見方や考え方を,これまでの経験と見通しのある観察や実験などで得た事実などとを結びつけながら繰り返し更新していくことで,自分の中での本当らしさをつくりあげていくことである。そうして自分の中での本当らしさをつくりあげることによって,自分を取り巻く人・自然・社会に対する見方や考え方をも更新することになり,そうした事物・事象へのかかわりや思いを深めていくことになると考える。