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校長室だより

平成28年度 全校朝会E
校長講話
(「本気の姿」と「残り姿」)

平成29年3月2日 校長 日伸哉

おはようございます。さわやかで元気なあいさつ、そして、すてきな歌声でしたね。口を大きく開けて歌う「姿」に胸がふるえました。

今日は、「姿」ということについて、二つお話をします。

一つ目は、とてもうれしくなった「姿」のお話です。
 先週の金曜日、校長先生は出張で学校を留守にしていましたが、心のこもったすばらしい「六年生を送る集会」になったことを、教頭先生はじめ、各学年の先生方にお聞きしましたし、ビデオも見せてもらいました。どんな「姿」がすばらしかったのか、具体的にお話しします。まず、2年生の心のこもった「招待状」という「姿」です。丁寧に一字一字に心をこめて書いたことが伝わります。そして、手をつないで入場の先導をした一年生の満面の素敵な「笑顔」という「姿」、3年生の願いが表れた体育館入り口の「折り紙ハートで作った虹のかざり」という「姿」、体育館までの廊下を歩くと優しい気持ちにしてくれる4年生の一つひとつ違う「ぼんぼり」という「姿」、5年生からの「メッセージボード(心のこもった筆字。漢字一字で表した思い)」や声の限りをつくした「応援」、スムーズな「進行」や「あいさつ」「ナレーション」そして「ハートの装飾」の一つ一つの「姿」に、これまでの「丁寧な取り組み」と「本気の心」を感じ、心が温かくなりました。1年生から5年生までの送る側としての「ありがとうの気持ち」が、しっかりと「姿」として表われていましたね。

みなさん、金子みすゞさんの「星とたんぽぽ」を思い出してみて下さい。
 「見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。」
 「ありがとうの気持ち(こころ)」は見えないけれど、現れた「姿」を通して見えてくる。現れた「姿」に「思いをはせて」みれば見えてくると言うことですね。ここが大事なんですね。「姿」を通して見えてくる。だからこそ、6年生は、その1年生から5年生の「姿」にしっかりと応えてくれました。「本気の姿」に「本気の姿」で応えてくれたのですね。「本気の歌声(絆・風の道しるべ)」「本気の呼びかけ」を、心に残るハーモニーという「姿」で響かせてくれました。
 これらのことは、とても尊いことです。なぜなら、「姿」が生まれるまでにはたくさんの「時間」や「労力」がかかり、「粘り強さ」が求められるからです。それを1年生から6年生まで全員が、見事に「姿」として表してくれました。まさに、心の輪が広がった瞬間だったのではないかと思います。1年間、みのり班で力を合わせて取り組んできて良かったなあと思います。そして、4月から学校の機関車になるオリーブ学年に、少しずつ確かなバトンが渉っているなあと感じます。うれしい限りです。


 もう一つの「姿」の話をします。こういう姿の話です。
 「残り姿」
 読めますか。「のこりすがた」ですね。日本の国で大切にしてきた文化のひとつです。聞いたことがありますね。

体育館の中にも、「残り姿」があります。わかりますか。
 6年生を送る集会を終えての「残り姿」です。体育館入り口には、「ハートの虹」、ステージ両側には「ハートのかざり」、ステージのバックには「八重桜の大きなハート」が残りました。「ハート&ハート&ハート!」まさに、みのりの大テーマ「心の輪を広げよう」の姿ですね。うれしくなりました。
 「残り姿」というのは、「終わったあとの姿、みんなが去ったあとの姿」のことです。特に「心が表れた気持ちのよい姿」のことです。
 こんな「残り姿」もありますよ。みなさんが帰ったあとの下足箱。きちんとズックが揃えてあって、気持ちのよい「残り姿」です。みなさんが帰ったあとの教室。窓がしっかり閉まっていたり、机がそろっていたり、しっかり生活や学習がなされているなあということが伝わってくる姿です。

ちょっと難しいですが、iPadやiPhoneで有名なアップル社のティム・クックCEO(最高経営責任者)は、「われわれが出会ったときの世界よりも、さらに良いものになった世界を残したい」と発言していますが、これも「残り姿」に相通ずる思いでしょう。

暦は三月になりました。明日は、ひな祭りです。そして、卒業式という「お別れ」が、もうそこまで来ています。残りの一日一日を大切にして、みんなで「姿」や「残り姿」を意識しながら、生活していきましょう。

それでは、今年度最後の全校朝会のお話を終わります。