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校長室だより

平成30年度 卒業式 校長式辞

平成31年3月19日 校長 佐藤昌彦

温かな日差しを受け、すべてのものが躍動のときを迎えようとしている 今日のよき日に 山形大学附属小学校を卒業される九十九名の皆さん、誠におめでとうございます。
つつじ学年の門出に当たり、佐藤 元 PTA会長様、中村喜兵衛 同窓会会長様をはじめとする ご来賓の皆様の臨席を賜り、創立一四〇年 平成最後の卒業証書授与式を、かくも盛大に挙行できますことは、この上ない喜びであり、深く感謝申し上げます。
また、保護者の皆様におかれましては、頼もしく成長したお子様の姿に、お喜びもひとしおのことと存じます。
卒業生の皆さん、たくましく立派に成長された皆さんを、本日、無事に卒業させることができ、何よりうれしく思います。今、手にした卒業証書は、みなさんが、ここ附属小学校で、小学校で学ぶべきことを確かに身につけたという証です。全員が大いに胸を張ってください。

黄色いランドセルを背に、校門をくぐったあの日から六年、みなさんの思いでのアルバムには、様々なシーンが飾られていることと思います。
大きな築山 かけのぼり どろんこだらけのあの日、
築山で遊んだ日のことを、覚えていますか?
附属小では、初めての北海道への就学旅行、一番の思い出は、なんですか?
みのり班活動のベストショットは どんなシーンですか?
つつじの仲間、みんなで一緒に体験をしてきましたが、きっと心に浮かべた思い出は、一人一人違うのだと思います。
それは、一人一人 考え方も 感じ方も 心の育ちも 違っているからです。
今日は、卒業という節目に際し、その一人一人のもつ『自分らしさ』について考えてみたいと思います。

何が『自分らしさ』なのか、これは、とても難しい問題です。
私は 佐藤昌彦として50年以上生きてきましたが、何が自分らしさなのか、はっきりとわかっていません。ときどき「昌彦らしいね~」と言われることはあります。みなさんも「○○さんらしいね」と言われたことがあるでしょう。でも、「自分らしさ」に、自分で気がつくのは、なかなか難しいですよね。
それは、自分の姿は自分には見えづらく、自分の中に未知の自分がまだまだ隠れているからなのだと思います。
その上、昨日の自分 今日の自分 明日の自分は、同じではありません。私たちは、誰かと出会い、関わることで、何かを経験し 感じとり、成長という変化を繰り返しています。自分が変わっていけば、自分らしさも変わっていくのではないでしょうか。ですから、簡単に答えが出ないのだと思います。

山形県の歌人 斎藤茂吉の息子、斉藤茂太さんは、こう言っています。
自分らしく生きられる場を探すのではなく、今、自分がいる場所で夢中になって生きてみましょう。そんな日々の積み重ねが、その人らしさを作っていくんだと思います。  「わが道をゆく」に 勝る道はありません。

『自分らしさ』は、探したり、無理につくったりするものではなく、自分の「やりたいこと」「やるべきこと」に夢中になって取り組めば、その「行動の結果」が「自分らしさ」になっていくということだと思います。自ら何らかの行動を起し、夢中になって取り組むことで、自然に『自分らしさ』が創られていくのだと思います。
これは、まさに、つつじ学年が大切にしてきた「動いて 考えて また 動く」ということでしょう。その先に、あなたらしさが創られ、つつじらしさが創られていくということなのだと思います。
中学校に進んでも、自分を信じて、あなたの道を進み、あなたらしさに磨きをかけていってください。きっと これからの変化の激しい社会を 幸せに生き抜くには、この『自分らしさ』をしっかりともっていることが 大きな力になると思うのです。

さて、保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。
これから子どもたちは、ますます「自分らしさ」を創り 磨いていきます。
そのプロセスで、あっちにぶつかり、こっちにぶつかりしながら、進んでいくことになるでしょう。
皆様にとっては、頼もしく思えることが増える一方で、悩みや心配も増えていくことになるかと思います。
どうぞ、保護者の皆様が、精一杯、そして自分らしく生きる背中を見せることで、子どもたちを勇気づけ、導いてあげてください。
いつまでも「子どもたちの手本となる存在」でいてあげてください。
これまで 本校の教育活動にいただきましたご協力、ご厚情に深く感謝いたします。

さあ、卒業生のみなさん。羽ばたきの時です。胸を張って、晴れやかに中学校に進んでいってください。
最後に みなさんに 私の大好きな あいだみつをさんの言葉を贈ります。
 『自分が自分にならないで だれが自分になる』
だれかに憧れ だれかをめざしても、決してその人にはなりません。
そして、他のだれも 決してあなたの代わりにはなれません。
あなたが あなたの魅力 あなたの長所を 最大限に生かして、最高のあなたになってください。

ご卒業おめでとうございます。
以上をもちましてはなむけの言葉といたします。