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校長室だより

サッカー日本女子代表、澤穂希(さわほまれ)さんに学んだこと。

全校朝会 校長講話(8月25日)

今日は、私がこの夏、一番こころに残っていることについて話をします。この夏休み中、私が学習したことのみなさんへの報告です。

この夏、私の心に一番残っていることは、澤穂希(さわほまれ)さんの言葉です。澤さんは、サッカー日本女子代表チーム、通称「なでしこジャパン」の一員です。なでしこジャパンは、7月17日、ドイツで開催されたサッカー女子W杯の決勝で、アメリカを破り、世界一になりました。澤選手は、そのチームのキャプテンであり、大会の得点王、最優秀選手となりました。テレビや新聞、雑誌でも盛んにとりあげられたので、見た人も多いと思います。私も、決勝当日の朝、早起きしてテレビで見ていました。テレビ等で見る澤選手が、とても淡々としているのが私には、印象深く見えました。そして、その後の澤選手の言葉を追いかけることがこの夏の私の楽しみになりました。その中から私の心に強く残っているものを3つ紹介します。

1つめです。決勝の試合終了直前、120分間走り続け、どの選手も疲れ切って転がったボールをみんなが目で追うだけのとき、離れたところにいた澤選手が猛然とそのボールを追いかける場面がありました。そのときのことを聞かれた澤さんの言葉です。

「確かにあの場面は自分の限界を超えたプレーだったと思います。でも、ボールを追うことによって、これまで限界と考えていた先のところまで足を踏み入れることができました。自分の限界を伸ばせれば、次の試合に生かせます。私のこの大会の目標は、一滴の余力も残さずやり切ることでしたから。」自分を伸ばすには、限界までやりきる、決して途中であきらめないという気持ちが、伝わってきました。

2つめです。優勝が決まり、日本の選手がグランドで喜びあっていたとき、アメリカのエースであるワンバック選手が澤選手に近づき、そっと澤選手を抱きしめ、「私はあなたを誇りに思う」とささやいたのだそうです。その時のことをふりかえったときの澤さんの言葉です。「ワンバックは、一度も負けたことのなかった日本に負けて、とてもとても悔しかったと思います。そんなときでも、彼女は、私はあなたを誇りに思うと言ってくれた。試合には勝ったけど、私はワンバックに人として負けたと思いました。」どんなときも、自分のことだけでなく、相手のことも考えられる。その大事さに気づいた澤さんの言葉でした。

3つめは、あるインタビューで、最後に澤さんが口にした言葉です。「外を見渡せば、私以上に素晴らしい人はたくさんいます。サッカーの世界でもそうですし、違う分野の人でも私以上に頑張っている人は大勢いる。謙虚な気持ちはどんなに持ちあげられても忘れたくない。もし天狗になってしまったら、そこで成長は止まってしまう。私はもっとうまくなりたいし、プレーの質をあげたいのです。」うわついたそぶりも、偉ぶるそぶりもない、澤さんを象徴する言葉でした。

世界一になったからということでなく、一人の人間として、自分のすべきことに取り組む姿勢としてあり方として、澤さんの姿と言葉にふれられたことが、この夏休みの私の宝物となりました。