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校長室だより

令和3年度 卒業証書授与式 校長式辞

令和4年3月19日 山形大学附属小学校 校長 樋口潤一

なつめ学年 九十九名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

本日の卒業生の門出にあたり、菅野佑吉PTA会長様よりご臨席を賜り、令和三年度の卒業証書授与式を挙行できますことをうれしく思い、深く感謝申し上げます。

また、保護者の皆様におかれましては、頼もしく成長したお子様の姿をご覧になり、お喜びもひとしおのことと拝察いたします。

一昨年から続くコロナ禍で、私たち教師も子どもたちも、そして保護者の皆様からもご協力をいただき、厳重な感染防止対策を重ねてきて、こうして一人一人への卒業証書授与を、今年度も実現することができました。本当に万感迫る思いがいたします。

思い起こせば、昨年の七月に、コロナの一瞬の隙をついて、岩手への修学旅行を実現できたことは、まさに奇跡だったのかも知れません。藤原三代の栄華に思いを馳せる金色堂、晴天の小岩井農場、大震災の爪痕が残る宮古での学び、究め尽くせぬほど深く広い宮沢賢治の世界への旅…皆さんと共に刻んだ思い出が、私の心に鮮やかによみがえってきます。

班のみんなと触れ合えないのに、「みのりスポーツフェスティバル」と言えるのか。私たち教師の心配を吹き飛ばすかのように、なつめ学年の皆さんは、オンラインを駆使してグラウンドと教室をつなぎ、華やかなダンスパフォーマンスと力強い応援でみんなの気持ちを盛り上げ、最高の「みのりスポーツフェスティバル」を創り上げてくれました。どんな状況においてもくじけることなく、「今だからこそできること・私たちだからこそできること」を追究し、新たな道を切り拓いてきた皆さんの姿は、後輩達の心に鮮やかに刻まれ、未来への道標となりました。素晴らしいリーダーの姿だったと、心から、心から敬意を表します。

私は、この式辞にあたり、「繋ぐ」という言葉を書きました。人と人とを繋ぐ、学校と町を繋ぐ、日本と世界を繋ぐ…これはまさに、なつめ学年の皆さんが、これまでの学びで実現してきたことです。

自ら行動し、全校生の心に虹をかけてきたこと、七日町を元気にするための灯(あかり)を大学生と共に作ってきたこと、山形の歴史を学び、過去と現在を繋いできたこと、希望を失いかけている方に美味しい食べ物のお裾分けを届けたこと、そして山形市とパートナーシップを結んで、サモアとの交流を続けてきたこと…そのすべてが、「繋ぐ」という強い志(こころざし)で貫かれています。

なつめ学年の皆さんが、この附属小学校で育んだ「繋ぐ」という強い志を、この山形に、日本に、そして世界に広げていきたいと思います。

争いや戦争をなくすことは、とても難しいことなのかも知れません。しかし、私たち一人一人が、なつめ学年の皆さんのように、心と心を繋ぐ、国と国を繋ぐ、そして今と未来を繋ぐという強い志をもって、あきらめずに一歩一歩前に進んでいきたい、そう強く思います、上海にいる高橋璃子さん、璃子さんもずっと私たちの「仲間」であり、「同志」です。

「なつめ」の花言葉は、「健康・英俊・若々しさ」です。「健やかでかしこく、未来に向かって挑戦し続ける若さに溢れた」皆さんの姿そのものです。これからも、人と人とを繋ぎ、美しい虹の向こうに続く、充実した人生を歩んでいってください。

皆さんの未来に、幸せが満ちあふれることを、ご家族の皆様とともに、心から、心から祈り、いつまでも、いつまでも応援しています。