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校長室だより

附属小の複組の「よさ」を受け継ぐ(全校朝会の校長講話)

令和5年1月11日 校長 林 敏幸

みなさん、あけましておめでとうございます。
 2023 年、うさぎ(卯)年がスタートしました。卯年は、うさぎが元気に跳ねる様子から「飛躍」や「向上」の年とされ、「新しいことに挑戦するのに一番よい年」と言われています。今年、みなさん一人一人がどんなことにチャレンジしていくのか、楽しみにしています。

今日は、附属小学校に1つだけある「複式学級」の話をします。今は3・4年複組だけですが、10年ほど前には5・6年複組、1・2年複組と複式学級は3つありました。しかし、平成23年に1・2年複組がなくなり、平成27年には5・6年複組がなくなりました。
 もともと、複式学級は全校児童数がとても少ない学校につくられます。児童数が少ないために、2つ以上の学年の子どもたちが1つの教室で一緒に学習したり生活したりできるようにしたのが複式学級です。たとえば、山形市内で複式学級がある蔵王三小は全校生が6人、山寺小は32人です。他には、全校生が51人の大曽根小や61人の明治小にも複式学級があります。山形県全体では約80の複式学級がありますが、今から50年ほど前には300ほどありました。そのため、県内の先生方が複式学級でどんな授業をすると子どもたちのためになるのかを学べるように、児童数がとても多い附属小学校にも複式学級をつくって研究を続けてきました。
 しかし、年々子どもの数が減り、児童数の少ない学校は他の学校と一緒になって児童数を増やし、複式学級をなくすようになってきました。これからは、複式学級がさらに減ると考えられています。このことをもとに、附属小学校では3・4年複組を今年度限りで閉級として、新しい研究にチャレンジしていくことにしました。

複組は人数が少なく、2つの学年が同じ教室で過ごすということが大きな特徴です。その特徴を活かし、これまで複組になった人たちと担任の先生方が努力して多くのよさをつくってくれました。みなさんには、これまで複組になった人たちがつくってきた「複組だからこそのよさ」をいくつか紹介します。
 4月、4年生は「複組バッジ」を準備して3年生を温かく迎えてくれます。国語や算数の学習では、担任の先生が一人で3年生と4年生を行き来して授業をするため、先生が別の学年と授業をしているときでも自分たちで学習を進めます。先生役になって話し合いを進めたり、黒板に友達の考えを書いたりすることは当たり前になっています。また、電子黒板を使って自分たちで学習を進めることもあります。自分たちで学習を進めることは、簡単なようでとても難しいことです。1つの学年は人数が6人だけなので、友達に任せることなく自分の考えを積極的に話さないと授業が深まりません。複組では、一人一人が自分のこととして授業に参加するため、よくキラリと光る考えが生み出されます。そんな複組のみなさんの姿を見ていると、「友達の考えをしっかり聴くことは友達を大事にすること」「みんなで考えをつなぐことでチームワークが深まること」がとても伝わってきます。
 また、道徳や音楽、学級タイムなどでは、2つの学年が一緒に学習します。3年生と4年生がペアになって学習したり、12人全員で話し合いをしたりします。複組の学級タイムでは、これまでも附属特別支援学校の小学部のみなさんと交流を行ってきましたが、今回も4年生が去年の経験を3年生に伝えながら、新しい取り組みを進めてきました。様々な遊びやゲームを通して仲を深めるだけでなく、英語の歌やダンスを一緒に楽しんだり、ときには英語を使ったゲームをしたりしました。先輩である4年生が経験したことを3年生に伝え、2つの学年が一緒に新しいことを創り出せることも、複組だからこそのよさです。12人のみなさんにとって複組での生活はあと3ヶ月ですが、附属小学校の歴史と記憶に残るすばらしい学びをつくり続けてください。

今日は3・4年複組の話を中心にしましたが、どの学年でも、自分たちの学級の「よさ」があるはずです。その「よさ」とは何なのか、どうしてその「よさ」をつくることができたのか、そして今の自分たちの姿が「学級目標」にどれだけ近づいているのか、ぜひ確かめ合ってください。残り3ヶ月で、さらによりよい学級になることを願っています。

附属小の複組の「よさ」を受け継ぐ